豪雨災害がこの夏も起きてしまった。静岡県熱海市で2021年7月、土石流が発生し多くの犠牲者が出た、8月には長引く大雨で九州地方を中心に西日本、岐阜県や長野県まで広範囲で河川の氾濫や浸水に見舞われた。
この数年、7~8月にかけて九州北部豪雨(2017年)、西日本豪雨(18年)、佐賀豪雨災害(19年)、熊本県人吉市や球磨村の豪雨災害(20年)と必ず大きな水害が列島各地を襲っている。昨年以降は新型コロナウイルスの影響で、ボランティアの確保が難しくなった。「防災の日」のきょう9月1日、大規模災害が頻発する今の時代の支援を考えてみたい。
2年前も被災「またか」と住民
佐賀県大町町(おおまちちょう)。8月11日から続いた大雨で六角川が氾濫し、病院が水に囲まれ孤立する映像が、テレビで流れた。31日現在、町内2か所に避難所が開設され、計18世帯・30人が暮らす。既に水は引き、各家庭では水にぬれた家財道具を外に運び出し、残暑のなかで後片付けに追われている。
災害復旧活動支援で同町に入ったNPO「ピースボート災害支援センター(PBV)」を取材した。昨年の熊本豪雨災害で、球磨村での避難所運営を長期間支援した団体だ。
大町町は2019年8月も豪雨に襲われ、浸水した。PBVの辛嶋友香里さんによると、2年前と同じ地域が今回も被害にあった。しかも被災範囲は、より広い。
「『またか』『やっと家の修繕や建て直しができたのに』と、住民の皆さんは精神的にかなり参っています」
家屋の床下に水がたまっており、カビの発生を食い止めるため早く乾かし、掃除する必要がある。だが大雨の後もさらに1週間ほど雨が続き、町では土砂災害の恐れがあるとして8月18日、21日と避難指示が相次いだ。これらが解除されようやく、在宅避難者の状況把握が始まった。
コロナ禍もあってか、町民のほとんどは自宅の上階に逃げる「垂直避難」を選んだ。いったん避難所に行ったが、その後帰宅した住民も多いという。避難所と違って、在宅だと今の暮らしの様子が見えにくい。「ガスが止まっている」「車が使えず買い物に行けない」といった困りごとの吸い上げが必要だ。こうした状況把握を進めている。