「雨の日に速度を出したり車間距離を詰めたりすることは『運転が上手い』ことではなく『超危険』である」、「安全運転をするためには協調するこが大事である」。ドライバーが見ると「ドキッ」として、背筋が伸びるこれらの投稿は、烏山自動車学校(栃木県那須烏山市)公式ツイッターアカウントによるものだ。
投稿には画像か動画がほぼ毎回添えられ、数百以上の「いいね」がつく。バズることも珍しくない。他人に広めたくなる、わかりやすいツイートの仕方を押えているようだ。ツイッター運用歴11年のベテラン担当者を取材した。
「気付くと見終わっている」がいい
【烏山自動車学校】現役の教習指導員や技能検定員が、安全運転の知識を中心に、交通安全にまつわる情報発信をしている。2010年6月に現担当者がアカウントを開設し、現在も運用中。当時ウェブサイトの更新を任されており、キャンペーン情報などをツイッターで告知するために作ったのが始まりだ。
ツイッター担当者は、烏山自動車学校の副管理者として、学科・実技教習を中心に、検定業務や生徒の送迎、管理者代行業務まで、幅広い仕事をこなす。合間を縫って、日に1~3時間ツイッター運用している。
当初は一方的な情報発信のみだったが、16年にアイドルグループ「AKB48」の太田奈緒さん(現在はグループを卒業)が同校に通い、免許取得するまでを「運転免許取得プロジェクト」としてユーチューブで公開したことが転機となった。
「ユーチューブやツイッターに寄せられる太田さんやAKBファンからのコメントにお返事するうちに交流の楽しさに気付き、以来フォロワーと積極的にやり取りしています」
4年ほど前から動画投稿にも力を入れている。模範的な運転例だけでなく、ベテランドライバーがやりがちな「片手ハンドル」、「危険な右折例」といった、避けるべき行動も示している。
担当者自身が教習所内で運転している様子を収めた車内映像は、誰かが撮影・編集を手伝っているわけではない。「助手席のヘッドレストを持ち上げ、そこにスマートフォンをはめて自力で撮影しています」。初期は同僚のサポートを受け、1分以上の動画を作っていたが、労力に見合う反響がなかった。そこで、長くても15秒程度に収めるなど試行錯誤を重ねた。
「拡散され、視聴回数が伸びた動画はどれも、音声や字幕がなくてもわかりやすく、短時間です。ユーチューブとは求められる動画像が異なると思います。ツイッターでは、見ようとしなくても目に入ってきて、気付くと見終わっている...くらいが良さそうです。そういう投稿をほぼ欠かさず毎日、粘り強く続けること。結果が出るまでには相応の時間と、常に工夫しようとする姿勢が大切です」
例えば、「交差点の横断歩道で道路ギリギリの場所に立たない方が良い」と注意喚起した19年12月1日の投稿は、再生回数が300万回を超えた。大型車の後部が曲がる時に外側へ大きく振り出す様子を収めた、たった5秒の動画だ。