「ナショナルトレセン」にも
社団法人日本サウナ協会が発行する「SAUNA新聞」の第337号によると、近代日本で蒸し風呂が誕生したのは、1956年。戦後の話だ。「東京温泉」をつくった許斐氏利(このみ・うじとし)さんは、この年に開催されたメルボルンオリンピックに射撃選手として参加した。選手村で蒸し風呂によく似た施設を他国選手が使っているのを見たのが、契機となったという。帰国後に許斐さんは、乾式サウナ風呂を「東京温泉」内に造設したのだ。
1964年の東京五輪では、出場選手の要望によりサウナが選手村に造られ、好評だった。フィンランド大使館の協力もあって、その後日本国内に広まったそうだ。
時は流れて、2021年。先日閉幕した東京五輪、現在開催中の東京パラリンピックで使われている選手村や、日本人選手が練習に活用した「味の素ナショナルトレーニングセンター」(東京・北)には、サウナが設置されている。スポーツ選手にとって、なくてはならない施設として定着したようだ。