炊飯器でコメが炊きあがったとき、しゃもじでご飯をほぐす。実はコレ、ご飯をおいしく食べるうえで重要なのだ。しかも、やり方ひとつでおいしさに「差」が出る。
J-CASTトレンドは、中嶋米穀の代表取締役で、コメに関する幅広い知識を持つ「五つ星お米マイスター」の石河英直さんに取材し、「ほぐし」について詳しく聞いた。
ほぐさないと「べちゃっ」となる
そもそも、炊いたコメをほぐす・ほぐさないで、味や食感に差が生まれるのか。
石河さんによると、一般的な炊飯器では「ほぐさない場合、水分が均一にならず、部分的に(炊飯釜の水分によってコメが)べちゃっとしたり、(コメが)硬くなることがあります」。
そうすると、口に入れたときに「食感が悪くなる」という。一方で、炊飯後にしっかりほぐすと、釜の中の水分が均一になる。そして、炊飯した米粒の表面を覆っている粘液状の膜「保水膜」ができてご飯につやが出る。すると、全体的に弾力感も出てくる。
炊きあがってから10分以内を目安にほぐすのがポイントだ。炊飯が終わると徐々に釜の温度が下がる。高温の状態でほぐさないと、次第に米粒同士がくっついて固まってしまう。
ただ、適当にしゃもじでコメをほぐせばよいわけではない。石河さんによると、
「家庭用の炊飯器の場合、しゃもじで大きく四等分に切る」
これが良い。優しくコメがつぶれないように切るようにして、釜の底からほぐしていく。一方で、炊けたコメの表面だけほぐしても、全体の水分が均一にならない。また、力を入れてかき回すようにほぐすと、今度はコメがつぶれて食感が悪くなってしまうのだ。