浴室に、ゴキブリが出た! 手がすぐ届く場所に殺虫剤はない。必死にシャワーを振り回すものの、あちらは素早く動き、飛び回り...人をあざわらうかのようだ。「武器」とすれば水か湯。それで戦えるのかわからない。
記者は2021年8月だけで、入浴中に二度もゴキブリと遭遇した。風呂場に出没するゴキブリへの正しい対処法が知りたい。フマキラー(東京都千代田区)研究員の佐々木智基さんに取材した。
一番の方法は
ゴキブリにかけるなら水と湯、どちらにすべきか。「シャワー攻撃」を前提にした記者の問いかけに、佐々木さんは教えてくれた。
「強いて言えば『湯』、というくらいです。浴室でゴキブリに遭遇したら、シャワーは使わず、まず『待避』してください。殺虫剤を取ってきて使うのが一番です」
佐々木さんによると、ゴキブリの体表は水を弾くワックスで覆われているため、簡単には窒息しない。「5度程度の低温の水をかければ動きを止められるかもしれませんが、一般的な家屋の蛇口から出る20度前後の水では難しい」。一方、体を構成するタンパク質が高温になると変性するため、「45度くらいの湯は嫌がって逃げ惑います。かければ動きがにぶる」。
ただ、ゴキブリの動きが素早くシャワーを当てづらいこと、熱い湯が出るシャワーを振り回すと体にかかるリスクがあることなどから、「落ち着いて浴室から出て、殺虫剤などを取ってくる」ことを推奨しているのだ。浴室に近い場所に置いておくと、いざという時に慌てずに済むだろう。佐々木さんは、殺虫成分不使用で、小さな子どもがいる家でも安心して使用できる「ゴキブリ超凍止ジェット 除菌プラス」を勧めた。
「排水溝にゴキブリ流す」は危ない?
ツイッターを見ると、「ゴキブリが風呂場に出たので、シャワーで排水溝に流した」という投稿が複数あるが、この対応に誤りはないか。佐々木さんは「排水溝内に住み着く可能性がゼロとは断定できない。確実に息の根を止めているのであれば流してもOK」と話す。では風呂場にいるゴキブリは、もともと排水溝からやってきているのか。
「臭いや害虫を防ぐトラップがありますし、下水管の構造的にも、水の流れに逆らって上ってくる可能性はそこまで考えられないですね。シャンプーやボディ-ソープに含まれる界面活性剤はゴキブリの体を覆うワックスを溶かすので、その成分が含まれた水に触れると、空気を取り入れる穴が塞がれて窒息死します」
佐々木さんは最後に「現れたゴキブリを退治するだけでなく、『根本』を断つことの重要性」を説明した。一匹倒しても、原因を解決しない限りは別の個体が新たに出てくるだけだという。
記者は殺虫成分入りの毒餌を、自宅の各箇所に設置しており、唯一それを置けない風呂場以外でゴキブリを見ることはほぼない。佐々木さんは「他の部屋の対策が十分だからこそ、風呂場へゴキブリが水を飲みにやってくるのだろう」と推測。
そこで、風呂場と隣り合っている洗面所に「ゴキブリワンプッシュプロプラス」を使ってみてはどうかと提案された。気になるところにワンプッシュすると、壁と家具の隙間、洗濯機の裏側など狭い隙間に潜む「隠れたゴキブリ」を駆除できるそうだ。追い出し効果によってゴキブリは外に出てきて死ぬので、効き目もわかるという。恐ろしい...結果を知りたくないような。
取材当日に入手し、洗面所にある洗濯機の裏、洗面台と壁の隙間などにワンプッシュした。時間をおいて様子を見ると、小さいゴキブリが一匹、壁際に出て来て死んでいた! きっとしばらく、風呂場にゴキブリが出現することはないだろう...。