米アップルが、折り畳み式の携帯電話を集中的に開発していると、中国紙・経済日報(電子版)が2021年8月25日に報じた。
これまで、韓国サムスン電子ほかが本体ごとディスプレーを折り畳めるスマートフォン(スマホ)を出している。報道が事実なら、アップルの「iPhone」が折り畳み式になる日が来るかも。
「研究開発はしていると思います」
スマホ・ケータイジャーナリストの石川温氏に取材すると、折り畳み式スマホ市場を牽引しているのはサムスンだと話す。2021年8月27日には韓国や米国で「Galaxy Z Fold3」・「Galaxy Z flip3」を発売した。
また中国ファーウェイから「Mate Xs」、米モトローラ・モビリティから「Motorola Razr」が出ている。この3社が折り畳み式スマホの中心メーカーだ。
ただ、普及は「まだまだ」。主な理由と考えられるのは端末代金が高いこと。20年11月にauをキャリアとして日本国内で発売された「Galaxy Z Fold2」は25万9980円(税込)だ。他メーカーの端末も高価で、最新のスマホを他人に自慢したい層など、まだ一部の人しか手にしていない状況だという。
ただ新発売の「Galaxy Z flip3」は999.99米ドル。日本では未発売だが、日本円で約11万円と以前の機種より安い。他社のハイエンド(上級)モデルのスマホと同等の値段になったと石川氏。また、国内ではFlipを扱うキャリアはauのみだったが、「Flip3」はNTTドコモも販売する。取り扱いキャリアが増えるため、これまでのモデルよりも売れるのではないかと分析した。
石川氏によると、アップルの折り畳み式スマホの実際の開発状況がどの程度かは不明だが、「研究開発はしていると思います」。ただ、製品化されるとは限らない。今後サムスンの折り畳み式スマホが人気となり、市場シェアが拡大すれば、アップルも対抗して折り畳みを発売していくのではないかと推測した。「(アップルは)業界の動向を見ているのではないかと思います」。
またサムスンやモトローラーは過去に、折り畳み式の携帯電話(ガラケー)を作っていた実績がある。加えて、サムスンはグループ会社が曲がるディスプレーを開発しており、折り畳みスマホの開発にあたりグループ力という強みを持つ。このようなノウハウのないアップルには技術的なハードルが高く、「キャッチアップする(追いつく)には時間がかかるのではないか」と指摘した。
iPhoneとiPad使い分けが多い
仮にアップルが折り畳み式スマホを研究していても、「iPhone」機種として登場するとは限らないと石川氏。iPhoneとは別に、タブレット型端末「iPad」の折り畳み版や、iPadとiPhoneの中間のサイズなどで登場するかもしれないからだ。
折り畳み式スマホがアップルから出た場合、一定の注目を集めると考えられる。だが、「結局折り畳むことで何が便利なのか、という訴求ができないと(好調な売れ行きは)難しいのではないか」と指摘する。石川氏によると、折り畳み式の魅力は持ち運びがしやすいほか、機種によっては動画などの閲覧時に本体を開いて大画面でも楽しめる点が挙げられる。
ただ、iPhoneユーザーにはiPadも同時に所有し、普段はiPhone、大画面で何かを見たいときはiPadと、使い分けをする人も多い。iPhoneとiPadを持てばこと足りると考える人もいれば、一台の端末で済むならば折り畳み式携帯が好ましいとする人もいると考えられる。今後アップルが折り畳み式スマホの発売に至るか、そしてユーザーに浸透するかは後者の需要にかかっていると言えそうだ。