「魔法陣」。アニメやゲームなどのファンタジー作品に登場する、架空の魔術で用いられる紋様や文字から成る、不可思議な陣だ。
その魔法陣を、玩具問屋・堀商店(愛知県名古屋市)の公式ツイッター担当者が描き、2021年8月27日に投稿した。ツイートには「魔法が使えなくても2000円あれば作れちゃう」とある。その「妙技」を明かしてくれた。
大事なのは「魔法陣を作る」という気持ち
「魔法陣を作るのに使った"魔道具"は『光るブレスレット』です。自分がラフを描き、社員2人を巻き込んで、終業後に1時間かけて完成させました(笑)。どうするのが正解かわからなかったので、丸と三角とバツを、それらしくなるように組み合わせています。子どもの頃からずっと、作ってみたかったんですよ!」
堀商店の成瀬昭則さんは、J-CASTトレンドの取材にこう答えた。夏祭りで各種景品になっていたり、フェスなどで手首に巻いて使ったりする、軽く折り曲げると暗闇で光るブレスレットだ。
「光るブレスレット」3セット(3本入×25袋が「1セット」に当たる)を使ったが、1セットでも魅力的な陣が出来上がるという。成瀬さんに、作り方を特別に教えてもらった。
まずブレスレットを袋から出し、各色とパーツに分けたら、ブレスレットを折り曲げて全て発光させる。
下準備が終わったら、模様を描いていく。成瀬さん流では最初に「小さい三角形を6つ合体させ、大きな星を作る」。次にその星を、四角で囲む。
上記で作った四角の周りを、さらに大きな円でぐるりと囲む。後は余っている材料で、「空いている場所にそれっぽい模様を描くだけ。大事なのは『魔法陣を作る』という気持ち」と成瀬さん。
1人で完成させるまでにかかった時間は50分。明るいところでもきれいだが、真っ暗闇の中で見ると...この通り!
輝かしい見た目とは裏腹に悲しい背景が
「光るブレスレット」を使った背景には、二年続けて中止に追い込まれた「夏のイベント」の影響がある。成瀬さんは、こう語る。
「このおもちゃは、夏祭りやフェスの時期に多く売れる定番商品なんです。しかしコロナ禍が長引き、販売する機会がなくなっています。今回使ったブレスレットは、本来2020年春に売る商品として19年に仕入れた分。現在、処分価格で販売中です。発光する薬液の使用期限である22年3月までに、少しでも活用したかった」
なお魔法陣の寿命は、ブレスレットが発光していられる約4~6時間。成瀬さんは写真や動画を撮った後に片付けたというが、一番の理由は「急に、怖くなったから」だという。
「魔法陣って、ゲームやアニメの中の世界と、異世界とを繋いで、人や悪魔、召喚獣を呼び出すのに使われることが多いじゃないですか。このままにしておいたら、何か出て来てしまうのではと......。放置するのはリスクが高いので、泣く泣く壊しました」
「恐ろしい何か」が迷い込んでこないように、作ったら責任を持って「片付ける」までが魔法陣遊び、ということだろう。