「甲子園の土」選手が持ち帰れない夏 元球児だから分かる悲しさと夢舞台への思い

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   夏の全国高校野球(第103回全国高等学校野球選手権大会)、出場校は連日熱戦を繰り広げている。2020年は、新型コロナウイルスの影響で中止となった。デルタ株が猛威を振るう中で今大会は、無観客試合や開会式・入場行進の簡素化など、異例づくめだ。

   例年、敗れた選手たちはグラウンドの土を集め、甲子園を去る姿が見られた。しかし、大会本部広報に取材すると、今大会はコロナ感染防止対策の一環として土の持ち帰りが認められていない。球児は、甲子園の土にどれほどの思い入れがあるのだろう。J-CASTトレンドは、甲子園に出場経験のある男性を2021年8月18日に取材した。

  • 男性提供・瓶は自分で購入して用意したという
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  • 男性提供・東北勢初の優勝が期待されていた
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3年生「最後の年」全員持ち帰った

「土を見ると当時のことを、懐かしく思い出します」

   取材に答えた男性は、こう語る。2015年の春夏大会に出場した名門校・仙台育英高(宮城県)の出身だ。春のセンバツ大会では、2回戦で優勝校と当たり、惜しくも敗れた。このときは「夏に向けて頑張ろう」と気持ちを切り替え、土は持ち帰らなかったという。3年生で迎えた夏大会は、決勝まで進出。春夏通して、東北勢初の優勝が期待されていたが、後一歩届かなかった。土は集めて持ち帰った。ガラス瓶に入れて大切に保管している。

「3年生は、最後の年でしたから全員持ち帰ったと思います。1、2年生は持ち帰ってなかったと思いますが...」

と話した。また「対戦校も持ち帰っていたと思います」とも教えてくれた。

   なぜ土を持ち帰るのか。「甲子園は高校球児の夢ですし、人生が変わる場所でもあります。(土は)そこでプレーした証」と、熱く語る。男性の場合、様々な事情から高校で「野球人生は終わり」と決めていた、その上で、

「小学生の頃から甲子園に行くのが夢でした。野球人生最後に、夢をかなえられたことを、また高校時代の3年間を忘れないためにも、甲子園の土を持ち帰りました」

と打ち明けた。

   甲子園の過密スケジュールからくる、悲しい事情もあるようだ。特に1回戦は、1日4試合というのも珍しくない。そのため、

「決勝まで行くと次が閉会式なのもあって、ゆっくり集められました。しかし、1、2回戦だと次の試合が詰まっているので、『早くして』と急かさせることもあると聞いています」

こんな舞台裏も教えてくれた。

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