運動後などに使われるスプレー式の「酸素缶」に、品薄や高額転売が発生している。東京都で新型コロナウイルスの自宅療養者が増加し、「酸素濃縮装置」の需要が高まっているが、その余波といえるかもしれない。
酸素スプレーは、新型コロナはじめ病気の治療用に適しているのか。
用途はスポーツ後や疲労時の酸素補給
オフィス用品や工具を扱うECサイト「モノタロウ」の「酸素スプレー・吸入器」カテゴリーでは、酸素スプレーを10件取り扱っている。2021年8月24日現在、全て欠品中だ。
ECサイト「アマゾン」では酸素スプレーがいくつか見つかるが、価格が高騰している。ルック(大阪府大東市)の「携帯酸素 富士さん素」(内容量5リットル)は、モノタロウでの表示価格が879円(税込・以下同)。アマゾンでは2300円から販売されている。
岩谷産業の「ピュア酸素缶」(内容量5100ミリリットル)は、公式サイトによると希望小売価格825円。モノタロウでは欠品だが、アマゾンでは2200円で見つかった。アマゾン商品の価格推移がわかる非公式ツール「Keepa」によると、21年1月から7月15日まではほとんどの期間523円で発売されていた。7月16日〜8月9日には719円〜750円で推移し、8月10日に1580円に。値上がりは続き、8月14日から現在まで2200円が続いている。
J-CASTトレンドは、岩谷産業に取材した。広報によると、インターネットなどで「ピュア酸素缶」の注文が集中している点や、一部で買い占めや転売が行われている話は認識していると明かした。ただ、売り上げのうち、新型コロナ対策を目的とした購入がどの程度なのかは把握していないという。
「ピュア酸素缶」は、スポーツ後や疲労時の酸素補給や緊張緩和を目的とした使用を想定しており、医療目的の商品ではないと広報担当者は説明する。連続で使用すると、満タン状態から約2分で容量が空になるという。
「新型コロナウイルス関連の治療や、『息が苦しいのでこれを使いたい』ということで購入されても、それにお応えできる商品ではありません」
フリマアプリ「メルカリ」では、ピュア酸素缶が数本セットで転売されている。4本セット6000円〜1万800円と、メーカー希望小売価格に比べて非常に高い値段がつけられているが、こうした価格でも数十件が売り切れている。