「大人の女性」だった
関連本の中では昨年刊行の『向田邦子ベスト・エッセイ 』(ちくま文庫・向田和子編)の売れ行きが好調だ。向田さんの随筆の中から、家族、食、旅、仕事など、テーマ別に50篇を精選した一冊だ。すでに15刷、累計発行部数は7万部を超えている。
向田さんの末妹のエッセイスト、向田和子さんが、家族、食、私、仕事のことから処世術などに関する名エッセイを厳選している。
8月12日の日経新聞には、『字のないはがき』(小学館)の書籍広告が大きく掲載されていた。同書は、向田邦子さんの名作を、直木賞受賞作家である角田光代さんが文章、西加奈子さんが絵を担当して絵本にしている。19年に発売され、20年には「第1回「親子で読んでほしい絵本大賞」に選ばれている。
同書に関わった角田さんは向田さんの熱烈なファン。今年1月19日には朝日新聞で、「向田さんは51歳で亡くなり、もう自分の方が年上になったのに、やっぱりずっと大人の人だと思うのはなぜだろう。例えば太宰治なら、自分がすごく若い時は大人だなと思っていたけれど、年を追い抜いて時間が経つと、太宰はすごく若かった、未熟だったんだなと。でも向田邦子は、いつまでたっても大人の女性だという気がしますね」と語っている。