アラートが出ていた
武漢の「野戦病院」に人民解放軍が深く関わっていたことからも分かるように、非常時における医療体制の構築には、事前の準備や政府の指導力が欠かせない。コロナは1年半前に発生し、何度も緊急事態宣言を繰り返しながら今日に至っている。医療体制の再構築を図るには十分な時間があった。
とりわけ、デルタ株については、あらかじめ危険性が大々的にアナウンスされていた。インドでまん延し、英国に波及した時から専門家によって、「従来株よりもはるかに強力」というるアラートが発せられていた。しかし、水際作戦をすりぬけ、4月末には日本に侵入。専門家は2~3か月後に急拡大すると心配していたが、いったん第4波が収まったことや、東京五輪が迫っていたことから対応が遅れ、急拡大を招く結果となっている。
中国・南京では先月、空港勤務者9人にコロナ感染が確認されたが、即座に、市民約900万人に対しPCR検査が約10日間で3回ずつ行われ、約200人の陽性者を特定したという。
こうした検査の面でも日本は立ち遅れている。新たな変異株として、国際的に関心が高まっているラムダ株に関して、ペルーからの来日者の陽性が判明したにもかかわらず、同便乗客への検査が遅れるという不手際があったことが報じられている。