「搬送困難事案」続出
デルタ株による感染拡大で、東京都では自宅で療養するコロナ患者が2万人を超えた。中等症でもなかなか入院できない例が増えている。重症者を受け入れる病院はもはやパンク寸前。救急車で運ばれたものの、搬送先が見つからない「搬送困難事案」は8月9日から15日までの間に全国で3361件。この約半数がコロナ患者だという。
日本では国民皆保険制度で保険料を強制的に徴収され、そこに公費をプラスして、「国民皆医療」が保証される形になっている。ところが、今や保険料を納めているのに、医療機関で診てもらえない人が大量に発生するという異常事態になっている。厚生労働省のウェブサイトでは、国民皆保険制度の特徴として「医療機関を自由に選べる」ことを強調しているが、現状はそうなっていない。
毎日新聞によると、立憲民主党の枝野幸男代表はすでに8月10日、新型コロナウイルスの感染急拡大で宿泊療養先のホテルが不足している問題に関し、「国有・公有地にプレハブ(宿泊療養施設)を建て、医療従事者に何とか集まってもらうだけでも、自宅訪問するより少ない医療従事者の力で対応できる」と提案している。
枝野氏は「首都圏などを中心に医療が受けられない状況が現実化しているが、東京で感染者がぐんと増えてからすでに1週間以上たっている」と指摘。病床が逼迫(ひっぱく)する医療機関や自宅療養に代わる受け入れ先を整備するよう、政府に求めたという。