自らセカンドオピニオン
先ごろ73歳になった鎌田さん。「予想外のことに直面しても打ちひしがれず、生きる情熱の灯は大切にともし続けたい」と、どこまでも前向きだ。ひと安心である。
病気になったとき、医者は何を思うのか。症状や検査数値をドクター目線で吟味しながら、一人の高齢者として来し方行く末を想い、より良い治療法を取捨選択することになるのだろう。「念のために」と遠慮がちにペースメーカーを勧める後輩の意見を、鎌田さんは「確かに」と認めつつ、やんわり退けた。「家族にも伝えているから大丈夫」と。
自らセカンドオピニオンを示しているようなものだ。主治医はこれで助かるのか、やりにくいのか微妙なところだが、連載を読む限り、患者としては優等生にみえる。
これまで、医療と健康の専門家として幅広い読者を獲得してきた鎌田さん。これからは老いのエキスパートとしても「鎌田らしい」発信を続けてほしい。初対面の時、風貌から「弟」認定された当方、8年遅れで追いかけさせてもらいます。
冨永 格