新しい老い方 鎌田實さんは病を得て「鎌田らしさ」を究めようと

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自らセカンドオピニオン

   先ごろ73歳になった鎌田さん。「予想外のことに直面しても打ちひしがれず、生きる情熱の灯は大切にともし続けたい」と、どこまでも前向きだ。ひと安心である。

   病気になったとき、医者は何を思うのか。症状や検査数値をドクター目線で吟味しながら、一人の高齢者として来し方行く末を想い、より良い治療法を取捨選択することになるのだろう。「念のために」と遠慮がちにペースメーカーを勧める後輩の意見を、鎌田さんは「確かに」と認めつつ、やんわり退けた。「家族にも伝えているから大丈夫」と。

   自らセカンドオピニオンを示しているようなものだ。主治医はこれで助かるのか、やりにくいのか微妙なところだが、連載を読む限り、患者としては優等生にみえる。

   これまで、医療と健康の専門家として幅広い読者を獲得してきた鎌田さん。これからは老いのエキスパートとしても「鎌田らしい」発信を続けてほしい。初対面の時、風貌から「弟」認定された当方、8年遅れで追いかけさせてもらいます。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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