新型コロナウイルスが、行政サービスに影響を及ぼしている。東京都台東区では、清掃事務所職員複数人が新型コロナに感染し、人手が不足。2021年8月末まで「不燃ゴミ」の収集を休止すると発表した。
当たり前のように利用していたが、コロナによって中止や制限がかかる――。ゴミ収集以外にも、事例は複数ある。
財政ひっ迫で「開かずの踏切」そのままに
東京都北区では、レクリエーション施設「甘楽ふるさと館」や、合宿などに使用できる施設「北区しらかば荘」の利用を2021年8月末まで取りやめている。神奈川県川崎市は、学校施設の特別開放を同じく8月末まで中止。以前は、体育館や校庭で遊べた。
コロナにより財政がひっ迫し、財源不足から予定されていた事業を見直す自治体も出ている。NHKは、「地方交付税」を受けていない全国の76の自治体を対象に調査を行った。その結果を報じた21年3月13日付NHK NEWS WEBによると、27の自治体が「事業や住民サービスに影響が生じる可能性がある」と答えた。
記事によれば、千葉県浦安市では、「子ども図書館」の新設や「郷土博物館」のリニューアルが延期になった。愛知県碧南市では、駅前のロータリーの拡張計画が今後完成時期の先送りや計画の凍結になる可能性があるという。
川崎市は、JR南武線の鉄道の高架化事業を今春から始める予定だったが、いったん見送りに。事業では9か所の踏切を取り除く計画だった。対象区間には遮断機が降りたままになる「開かずの踏切」が5か所。中には1時間のうち40分以上遮断している場所がある。渋滞発生や、歩行者の安全性低下といった問題が指摘されていた。
鉄道やバス運休、車内激混みに
行政サービスではないが、公共交通機関にもコロナが影を落とした。
JR北海道は、2021年2月28日に社員2人が新型コロナに感染したと発表。翌3月1日付朝日新聞デジタルによれば、同じ休憩・宿泊場所を使う運転士ら社員約50人もPCR検査を受け、結果が判明するまでは乗務から外した。この影響で、運転士の人手が足りなくなり、28日は函館線で列車5本を、3月1日は同線で31本を運休した。
都営地下鉄・大江戸線では昨年末から今年1月初めにかけて、運転士の感染により、通常の7割程度に本数を減らしての運行が続いた。平日のラッシュ時には車内が混雑し、「密」を不安視する乗客が困惑の様子をツイッター上に投稿していた。
複数の報道によると、コロナが拡大し始めた2020年4月2日には、石川県の北鉄金沢バスの運転士の感染が発表された。翌3日付日テレNEWS24(電子版)は、同日朝から金沢市近郊を走る60路線のうち15路線・403便を運休したと報じている。