子どものゲーム課金トラブルが急増している。国民生活センターの2021年8月12日の発表によると、小中学・高校生が保護者の許可なくオンラインゲームに課金したという相談の件数が、20年度は3723件で過去最多となった。
ただ、発表の中では、保護者の承諾なく課金した場合には「未成年者契約の取消しが可能な場合」があるとしている。具体的に取り消しができるケースを調べた。
「ウソ」は禁物
スマートフォン(スマホ)向けゲームや近年の家庭用ゲーム機では、クレジットカードなどを利用し、ゲーム作品やゲーム内のアイテムをオンラインで購入できる。こうした支払いが「課金」だ。新型コロナウイルス禍で子どもの在宅時間増に伴い、スマホやゲーム機での課金トラブルが増えたとのことだ。
J-CASTトレンドは、国民生活センター相談情報部に取材した。「原則として親の承諾なく課金してしまった場合には取り消しができます」と担当者は話す。民法5条の規定により、法定代理人(保護者)の同意を得ないで行われた契約は原則として取り消せる。他方、課金契約を取り消せないケースが複数存在するという。
同センターは、消費者から子どもの課金を取り消したいとの相談があったとき、まず詳しい事情を確認する。親の同意を得ないで行われていたら、トラブルの解決に向けてゲーム会社に連絡し、仲裁をする。ただ、保護者が課金の申し込みに同意していた場合や、「月5000円までだったら課金をしても構わない」というように、子どもに利用額を限定する形で課金を認めていた場合には、その額の利用分については取り消しが認められない。同意は口約束で成立する。
センターでの事情確認時に、もしも保護者が実際には課金に同意していたことを隠している様子が見られたら、仲裁は行わない可能性があるという。
子どもが「詐術」を用いた場合にも、課金を取り消せない。未成年者が年齢を偽ったり、親に承諾をもらっているフリをして課金を行うケースだ。
スマホ向けゲームは、20歳以上の場合には「このボタンを押してください」といった形で年齢確認画面を設けている場合が多い。20歳未満なのにそのボタンを押すと「詐術」とみなされ、課金をした時に取り消しが認められなくなるという。
保護者が自身のアカウントでゲームを開始し、そのまま子どもに貸与した後、子どもが勝手に課金したケース。保護者が課金したのか子どもが勝手にしたのか、ゲーム会社からすれば判断が困難なので、取り消しが難しくなる。