「人流の5割削減」を
今春、インドで一日の感染者が30万人になり、酸素ボンベを奪い合う映像などが全世界に報じられて衝撃を広げた。インドの人口は日本の10倍以上。インドの人口で換算すると、日本はすでに20万人規模の感染者になっている。
震源地となっている東京都の12日の感染者数は4989人。ネットでは「四苦八苦」と話題になった。「モニタリング会議」で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「制御不能な状況だ。災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態」と、都の現状を分析し、危機感の共有を訴えた。
東京の状況で特に心配なのは重症者の増加だ。一週間前に比べて7割増。都医師会は「医療が機能不全に陥っている」と指摘する。感染者の絶対数が増えれば、少し遅れて必然的に重症者も増える。この傾向はほどなく地方にも波及すると見られている。医療体制が東京よりも劣る地方では、もっと大変な事態になりかねない。知事たちの「帰省自粛」の呼びかけは、切羽詰まったものだ。政府コロナ分科会の尾身茂会長も同日、「人流の5割削減」を訴えた。