侍ジャパンが戦った米国は大リーガー不在だった 五輪軽視?日本と対照的

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   野球・日本代表(侍ジャパン)は、東京オリンピックで金メダルを手にした。決勝を戦った米国代表、実は大リーグの選手はひとりもいなかった。

   メジャー傘下のマイナーリーグか、NPB(日本プロ野球)など他リーグに所属の選手で構成されていたのだ。もちろん、「侍」の金メダルが色あせることはないが、日本が「NPBオールスター」だったのとは対照的だ。

  • 侍ジャパンが1984年ロサンゼルス大会以来の金メダル獲得(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
    侍ジャパンが1984年ロサンゼルス大会以来の金メダル獲得(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
  • 侍ジャパンが1984年ロサンゼルス大会以来の金メダル獲得(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

負けても米国の威信は揺るがない

   2008年北京五輪の野球でも、米国代表に現役MLB選手はいなかった。

   しかしMLBが立ち上げ、計4回開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、米代表メンバーに現役メジャー選手を毎回そろえている。17年大会では、前年シーズンで本塁打王・打点王の二冠に輝いたノーラン・アレナド選手を4番に据え、「本気」を出していた。

   なぜ日米で、五輪への力の入れようが異なるのか。J-CASTトレンドは、スポーツライターの小林信也氏に取材した。

   まず、夏季五輪はMLB公式戦のシーズン期間中であり、米国は選手を派遣しづらい。また、MLBは五輪に利権を有しておらず、勝ち負け問わず金銭的なメリットがない。

   さらに、米球界はMLBのワールドシリーズ(優勝決定戦)とペナントレースを最も重視しており、国際大会に必要性を感じていないと小林氏は分析した。MLBこそが「野球」であり、世界一のレベルを誇るリーグだと確信しているとのこと。五輪で負けてもその威信が揺らぐことはない。こうした事情から力を入れていないとみる。

「相撲に例えると、世界相撲選手権で日本以外の国が勝ったからといって、『日本の相撲は地に落ちた』と誰も言わない。日本の人からすると、日本の相撲が世界一なのは言うまでもなく明らかなので。そのような認識が、米国の人にあるのだと思います」

「対サッカー」「対MLB」

   WBCは、MLBが主催に携わっている。大会が盛り上がれば自リーグの収入につながる。だから、WBCにはある程度注力していると小林氏は考える。

   日本が国際大会に力を入れている理由には、まず「対サッカー」意識があると話す。Jリーグ発足以降、国内でサッカーに注目が集まった一方で、野球人気は落ちていった。そこで国際大会で勝利し、支持を回復したいという思惑が球界にあると小林氏。2006年のWBC第1回大会でも、日本の優勝や大スター・イチロー選手の存在により、少し人気を盛り返した。

   また1992年バルセロナ五輪の正式種目として追加される以前、野球を世界に広めるべく、日本のアマチュア野球界は正式種目化のための活動を行ってきた。こうした流れから、日本の野球界は現在も五輪出場に対して「前向き」なのだという。

   日本のWBCへの注力ぶりは、MLBへの対抗心も根底にあると小林は推測した。MLBが世界一のリーグとして扱われている中、「メジャーがすごいと言われているけれど、日本もすごいぞ、ということを見せたいんだと思います」。

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