野球・日本代表(侍ジャパン)は、東京オリンピックで金メダルを手にした。決勝を戦った米国代表、実は大リーグの選手はひとりもいなかった。
メジャー傘下のマイナーリーグか、NPB(日本プロ野球)など他リーグに所属の選手で構成されていたのだ。もちろん、「侍」の金メダルが色あせることはないが、日本が「NPBオールスター」だったのとは対照的だ。
負けても米国の威信は揺るがない
2008年北京五輪の野球でも、米国代表に現役MLB選手はいなかった。
しかしMLBが立ち上げ、計4回開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、米代表メンバーに現役メジャー選手を毎回そろえている。17年大会では、前年シーズンで本塁打王・打点王の二冠に輝いたノーラン・アレナド選手を4番に据え、「本気」を出していた。
なぜ日米で、五輪への力の入れようが異なるのか。J-CASTトレンドは、スポーツライターの小林信也氏に取材した。
まず、夏季五輪はMLB公式戦のシーズン期間中であり、米国は選手を派遣しづらい。また、MLBは五輪に利権を有しておらず、勝ち負け問わず金銭的なメリットがない。
さらに、米球界はMLBのワールドシリーズ(優勝決定戦)とペナントレースを最も重視しており、国際大会に必要性を感じていないと小林氏は分析した。MLBこそが「野球」であり、世界一のレベルを誇るリーグだと確信しているとのこと。五輪で負けてもその威信が揺らぐことはない。こうした事情から力を入れていないとみる。
「相撲に例えると、世界相撲選手権で日本以外の国が勝ったからといって、『日本の相撲は地に落ちた』と誰も言わない。日本の人からすると、日本の相撲が世界一なのは言うまでもなく明らかなので。そのような認識が、米国の人にあるのだと思います」