新型コロナウイルスで変異株が猛威を振るっている。インド発のデルタ株はすでに世界100か国以上に広がった。新たに注目されているのが、ペルー発とされるラムダ株だ。今のところ中南米中心に感染報告は30か国あまり。今後、デルタ株並みに急拡大する恐れもある。
日本でも感染者が見つかったことで、メディアで取り上げられる機会が増えてきた。
空港検疫所の検査で陽性
厚生労働省は2021年8月6日、日本で最初のラムダ株感染者が見つかっていることを発表した。30代の女性だという。国籍などは明かされていない。女性はペルーに滞在歴があり、7月20日に羽田空港に到着。検疫所の検査でコロナ陽性が判明した。その後、国立感染症研究所が詳しく調べたところ、ラムダ株と確認されたという。
検疫所での感染判明から、ラムダ株と発表されるまで2週間以上。ラムダ株のリスクが懸念され、要注意の変異株になっているにもかかわらず、公表までに、かなりの時間がたっている。
東京スポーツは10日、「菅政権が『最凶ラムダ株』上陸の発表を期間中に"隠蔽" 米メディアが猛追及」という記事を報じている。一部海外メディアによると、すでに7月26日には当該女性のウイルスがラムダ株だったことが日本から国際機関に報告されていたのだという。五輪が始まったばかりということで、公表までしばらく伏せられていた可能性があると、この海外メディアは指摘しているという。
真偽は不明だが、要警戒中の変異株に対するスピーディーな公表ではなかった。
ペルーでは9割
ラムダ株については、まだ情報が少ない。感染症専門家の忽那賢志医師がヤフーに掲載した記事によると、2020年8月にペルーで最初に見つかり、その後、南米を中心に拡大。30か国あまりに広がっている。WHOは2021年6月14日にこの変異ウイルスを「ラムダ」と名付け、「注目すべき変異ウイルス」に指定した。「デルタ株」よりは、まだワンランク低い扱いだ。
ペルーではコロナ感染者の9割、チリでは3割がラムダ型だという。中南米では、ブラジル由来のガンマ型変異ウイルスとせめぎあっている。
ペルーではすでに全人口の0.57%、約19万人がコロナで死亡している。世界的に突出している。死亡率の高さが、ラムダ株の威力によるものなのか、医療体制の弱さによるものなのかは不明のようだ。
米国の調査に期待
これまで比較的エリアが限定されていたラムダ株だが、7月には米国でも見つかった。米国ではこの3週間で1060人の感染が判明したという。
すでにデルタ株が広がっている国では、あらたにラムダ株の拡大兆候が見られることはなかったという。それだけに米国での感染拡大の状況や、研究機関の調査データに注目が集まっている。
ラムダ株にワクチン効果はあるのか、感染力や重症化率はどのくらいなのか、などの調査結果が、今後、米国から発信され、ラムダ株の正体が次第に明らかにされることになりそうだ。