東京オリンピックで、日本勢は歴代最多となる27個の金メダルを獲得した。勝利を手にしたアスリートの「嬉し泣き」は、感動を呼んだ。
一方で、試合に敗れて悔し涙を流す選手らもまた、人々の心を動かした。様々なドラマが繰り広げられた東京五輪。あなたが胸を打たれた「涙」は――。
静かに流す涙、笑顔の後の涙
新種目・空手の「形」では、メダルに輝いた男女が静かに涙を見せた。男子の喜友名諒選手は、沖縄県勢で初の五輪金メダルを獲得した。決勝後には畳の上で正座し、うっすらと涙を浮かべた様子だった。インタビューでは、亡き母に優勝の報告をしたと語り、途中で涙をこらえるように数十秒間沈黙する姿も話題となった。
女子では清水希容選手が決勝でサンドラ・サンチェス(スペイン)選手に敗れ、銀に。試合後のインタビューでは笑顔も見せたが、「ここまで来るのに、すごく...」と切り出したところで、涙があふれ出た。続けて、「すごくしんどかったので、ここで勝ちたかったんですけど。悔しいです」と心境を露わにした。
バドミントン女子ダブルスでは、福島由紀選手と、大会前に右膝の前十字靱帯を損傷した廣田彩花選手ペアの姿が印象的だ。廣田選手は、サポーターを付け準々決勝へ。けがを抱えながら中国ペアに善戦し、第1ゲームを奪うも、最後は1-2で逆転負け。試合終了直後に笑顔を見せた「フクヒロ」ペアだが、中国ペアと抱擁を交わす頃には、福島選手も廣田選手も涙を流していた。
サッカー男子・U-24日本代表は準決勝でスペインに敗れると、3位決定戦ではメキシコにも負け、4位。53年ぶりのメダル獲得はならなかった。
チームの柱・久保建英選手は、試合終了後にはピッチ上に崩れ、人目をはばかることなく号泣した。インタビューでは「今までサッカーだけやってきて、こんな悔しいことってない」と声を震わせ、「この気持ちを忘れないようにできれば」と前を向いた。