新型コロナウイルスのワクチン不足を補うため、英アストラゼネカ製ワクチンが日本でも使われることになった。厚生労働省は200万回分を「40歳以上」の人に接種する方針。2021年8月中旬から、緊急事態宣言が出ている東京など6都府県に配布するという。
アストラゼネカのワクチンは、先行するファイザー製やモデルナ製に比べて予防効果が劣るとされている。加えて、ごくまれに血栓症を引き起こすという報告もあり、日本では承認されたものの使用は見送られてきた。
40代や50代の重症者が増えた
接種承認は、7月30日の専門家の分科会の議論を経て決まった。NHKによると、厚労省は、原則40歳未満に接種しないことを条件として使うことを提案。理由として、英国でも40歳未満にはほかのワクチンを推奨したうえで使用していることに加え、日本では接種が進んでいない40代や50代の重症者が東京都を中心に増えていることなどを挙げたという。
分科会では「選択できるワクチンが増えることは重要だ」とか「ネガティブな印象が先行しているが、英国で接種されている実績があり、期待できる」などという賛成する意見が出て提案は了承されたという。ただし、自治体側の一部の委員からは「ほかのワクチンよりリスクが高いと住民の接種に使う気持ちになれない」とか、「急にワクチンが変わると住民に伝えるのが難しい」といった意見も出たという。
その後、明らかになった配布の方針は、「緊急事態宣言が出されている6都府県を優先する」というもの。8月16日から9月にかけて、順次配送される。関係都道府県内には少なくとも1か所、接種場所を設けることになるという。
インターネット掲示板には、「嫌です」「そのうちアストラか接種しないかの二択になるかも」といった声に加え、ファイザーやモデルナのワクチンを「上級国民の3本目用」に確保するための措置ではないかという疑いまで飛び出した。