新型コロナウイルスのデルタ株が猛威を振るい、緊急事態宣言が、東京、沖縄以外でも発令された。今春ごろ専門家が警告していた通りの結果となっている。五輪開催のタイミングでここまで急拡大するとは、東京都や政府関係者にとっても予想外だったようだ。
改めてコロナ変異株の恐ろしさを見せつけられた形だが、世界を見渡すと、「第二、第三のデルタ株」がまだまだ出てきそうで一層の警戒が必要だ。
ペルーの感染者の致死率は9.3%
コロナウイルスは一定の確率で変異株を生み出す。そのたびに強力になるという。専門家がいま警戒感を強めているのは「ラムダ株」だ。ペルーで最初に確認された。南米を中心に世界約30か国に広がっているという。
ペルーは今や感染者の8割がラムダ株と言われ、死者も多い。「フォーブス」が米ジョンズ・ホプキンス大学のデータを紹介している。それによると、7月12現在のペルーの感染者数は約207万9000人、死者は19万3000人以上。感染者の致死率は9.3%に達するという。医療体制なども関係するので、ラムダ株と致死率とどれくらい関係があるのか定かではないが、ラムダ株の跋扈で、ペルーが大変な状況にあることは推測できる。
周知のように、デルタ株もまず2021年3月ごろからインドで爆発的に広まった。4月に入り、感染者が1日で 30 万人を超える日が続くなど危機的な状況に。しかし、当初はまだ地域的な変種にとどまっていた。
入国者に厳重チェックのはずが
デルタ株については、日本でも拡散リスクが指摘されていた。そのため外務省は4月23日発表の「新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について」でインドやネパール、パキスタンなどを「上陸拒否対象国・地域」に指定。5月1日には、インドからの入国者・帰国者は、「検疫所長の指定する場所で待機」、「入国後3日目に改めて検査」を受ける体制に移行した。
このように「水際作戦」が強化されたにもかかわらず、デルタ株は日本に入り込み、今日の未曽有の状況となっている。
現在のところ、日本でラムダ株は見つかっていないという。しかし、「水際作戦」は完ぺきではない。日本入国後に、位置情報の報告に応答しない人が少なくないことは、多くのメディアで指摘されている。厳重なチェック体制に基づいて入国したはずの五輪関係者の間からも、感染者が毎日のように発表されている。
ほかにも変異株は次々と見つかっている。「フォーブス」によると、イングランド公衆衛生庁(PHE)は先ごろ、複数の国で感染が確認されている新型コロナウイルスの新たな変異株「B.1.621」を「調査中の変異株(VUI)」に指定、変異による影響を明らかにするための調査を開始した。
「B.1.621」は今年1月、コロンビアで最初に確認された。英国内では7月21日までに少なくとも16人の感染が確認されている。日本も含めた23か国から、「B.1.621」が検出されており、感染は明らかに、国際的な広がりをみせているという。