「ハイテク先進国」
日本から見ると、パレスチナ紛争の当事国というイメージが強いイスラエル。実は世界的には「ハイテク先進国」として有名だ。
『知立国家 イスラエル』(文藝春秋、2017年刊)によると、国民1人あたりのノーベル賞受賞者数、博士号保有者数、教育費、特許数、ベンチャー起業数、研究開発費(対GDP比)などが世界トップクラスだという。
たとえば、インテル製CPUの8割以上、「グーグル」のいくつかの機能も、イスラエルで開発されたもの。パソコンの「ファイアーウォール」やドローン技術、監視カメラが不審人物を自動的に検出する人工知能フィルター、小型胃カメラなどなどもイスラエル発だという。「もう一つのシリコンバレー」という感じだ。
その背景には、第二次世界大戦後にロシアや東欧から高学歴移民を受け入れたのをはじめ、世界各国からの移民がもたらす「パイオニア精神」があるという。著者の米山伸郎さんによると、現数理系の才能をもつ若者を選抜する超エリートプログラム「タルピオット」「8200部隊」などもイスラエルのIT立国を支えているという。
イスラエルは世界屈指のサイバー大国としても有名だ。『サイバー戦争の今』 (ベスト新書)はその詳細を伝える。著者の山田敏弘さんはサイバー武器メーカー、NSOグループの本拠地も訪問している。同社は500人ほどの従業員を抱え、うち半数がハッキングに特化した製品に携わるエンジニアだという。