国内の新型コロナウイルス新規感染者が、1日で1万人を超えた。ワクチンの接種が、もはや「最後のとりで」の様相だ。
東京オリンピックでも、アスリートや大会関係者を対象としたワクチン接種が進められてきた。ところで、接種後には運動やトレーニングを行っても、免疫の形成への影響や体へのリスクはないのだろうか。
「問題なし」とする外国の専門家も
米国疾病対策センター(CDC)の公式サイトでのワクチン接種後に関する説明には、運動の可否についての記述は見当たらない。
米国の首都ワシントンのテレビニュース「WUSA9」(電子版)2021年4月6日付の記事も、接種後の運動について、政府などによる公式の勧告はないとしている。記事内の専門家の話によると、接種後に運動をしても免疫反応に影響を与えるエビデンス(科学的根拠)は存在しないという。
副反応の影響で気分が優れなくなる恐れはあるが、接種後に運動をしても問題はないと専門家は話したとのことだ。
英国政府の公式サイトは、接種後の体調に問題がなければ通常の活動を再開できると説明している。運動を避けるべきとするような記述は見つからない。英国紙「i」電子版の6月10日付記事に登場した専門家も、接種後に運動をしても危険はないと考えを述べ、ワクチンの効力に影響を与えることを示す証拠はないと話していた。
半面、シンガポール保健省は7月5日に「ワクチン接種後1週間は、運動や激しい身体活動を避ける必要がある」と呼びかけた。公式サイトでの発表によれば、6月30日の時点で、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎が発生した事例が12件報告されていたという。接種後1週間の運動を避けるように勧告したのは、こうしたデータを考慮したものだ。
日本の厚生労働省サイトは「ワクチンを受けた当日は、激しい運動や過度の飲酒などは控えましょう」と呼びかけている。激しい運動の基準や翌日以降の運動について、J-CASTトレンドは厚労省予防接種室に取材した。同サイトに書いてあるほかに、運動に関する基準などは「特にない」と担当者は話す。あくまで一般的な予防接種の考え方として、接種当日は安静に過ごすよう案内しているという。
プロアスリートの対応は
アスリートの接種後の過ごし方を調べた。サッカー・Jリーグでプレーし、現在はカンボジアのチームに所属している木暮郁哉選手は、6月20日、中国シノファーム製のワクチンを接種したとツイッターに投稿。翌21日には「体調はすこぶる良くて、今日から練習再開」とツイートしている。
6月5日付の日刊スポーツ(電子版)は、東京五輪・U-24日本代表の選手が6月4日にワクチンを接種し、複数人に副反応がみられたと報道。該当の選手は翌日、ジョギングやストレッチなど、軽めの練習メニューをこなしたとのことだ。
野球日本代表(侍ジャパン)の森下暢仁投手は、7月21日に接種を受け、副反応の影響で22日の練習を欠席、23日に練習には復帰した。同月24日付の日刊スポーツ(電子版)が報じている。
同じく侍ジャパンの田中将大投手。7月17日付の朝日新聞(電子版)によれば、15日に2回目のワクチン接種を受け、プロ野球オールスターゲーム(16日・17日)を欠場。所属球団の東北楽天ゴールデンイーグルスは、田中投手に副反応とみられる症状が出たと説明したという。
侍ジャパン公式サイトのチームレポートによれば、田中投手は19日の代表練習には復帰。副反応について「倦怠感があったのですが、今はもう大丈夫です」と語っていた。