無観客のはずの東京オリンピックの試合に、「ジリジリジリ」と無数の声がする。日本の夏の風物詩・セミだ。
2021年7月28日の野球・予選リーグにおける日本対ドミニカ共和国の試合。試合開始直後から終わりまで、アブラゼミと思われる鳴き声が響き続けた。日本人にとっては慣れ親しんだセミの声だが、海外の観戦者や選手はどのように受け止めているのか。
米国でもセミが発生しているが
前述の野球だけではない。7月28日のテニス男子シングルス3回戦で錦織圭選手が出場した試合や、7月29日のゴルフ男子第1ラウンドでも、アブラゼミやミンミンゼミのような声が響いている。
ツイッター上では、海外のユーザーから「セミのせいで野球の試合を見ていられない」「五輪野球には世界で最も騒々しいセミが用意されている」「無観客なのでセミの声が響く」と、セミを気にしている様子の投稿が複数見られる。
米スポーツ雑誌記者のクリス・ブンバカ氏は7月28日、ツイッター上に「セミと離れられると思った。そして日本に来たら」と投稿。添付の動画内では、セミが鳴り響く中を歩くブンバカ氏が「セミが私を追いかけ続けている」とうんざりした様子で語っている。
米国では、2021年5月ごろから「17年ゼミ」と呼ばれるセミが大量発生している。ブンバカ氏は日本に来てもセミが大声で鳴いていることに驚いた様子で、動画内には「(米国のセミよりも)さらに音量が上がった」と記述している。
セミの声にアスリートは
米野球記者のハンナ・カイザー氏も7月24日、「東京のセミは、板金を歯の中で破砕されているような音がする」とツイート。こちらには都内と思わしきミンミンゼミの鳴き声の動画が添付され、動画内には「今までで最もうるさいセミの音」と書いてある。
ロシアの通信社「イタルタス通信」の7月26日付(現地時間)の記事では、ROC(ロシアオリンピック委員会)から東京五輪・女子テニスに出場しているエレーナ・ベスニーナ選手が会場のセミについてコメントしている。「最初はセミの鳴き声がとても大きかった」とした上で、「しかし今では慣れた」と話したとのことだ。