法律がなくてもできる
感染症専門医の中には、法律はなくても実質的なロックダウンはできると主張する人もいる。神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授は28日、幻冬舎オンラインで、著書『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル、2020年12月刊)の一部を抜粋・再編集し、概ね以下のように説明している。
「日本には外出を規制する法律がない。だからロックダウンはできない」。そんなことを言う人がいます。しかしそれは間違いです。法律上、「外出をするな」とか「店は閉めろ」といったことを強制できないのは事実ですが、それは重箱の隅をつつく議論で、本質的な問題ではありません。日本でもロックダウンはできます。
「この地域に入らないでください」「この地域から出ないでください」「この地域に住んでいる人は外出しないでください」「罰則はないけれど、協力してください」。国がそう言い続けるのがロックダウンです。
感染を終息させるという目的において、ロックダウンは最もパワフルな対策です。その効果には絶大なものがあります。
短期間のうちに感染を抑え込むためには、できるかぎり完全に近い形で人の動きを止めなければならない。「狭く強く短く」がロックダウンを成功させる要件です。
岩田さんの主張と、尾身会長の発言はなんとなく重なるところがある。まだ「打つ手はある」というものだ。それを政府に求めている。ただし、東京では五輪を開催中。そのことが事態を複雑にし、より強いコロナ対策を打ち出しづらくしている。
ヤフー「みんなの意見」は、「五輪期間中に感染が拡大、政府の対策に効果はあると思う?」というアンケートを実施中だが、28日現在、96%の人が「効果はない」と答えている。