規制の大半は「要請」どまり
非常時に、公権力が一般市民の私権を法律で制限するという意味では、緊急事態宣言、ロックダウン、外出禁止令は似ている。違いは強制力。日本の緊急事態宣言は、諸外国のロックダウンや外出禁止令に比べると、規制が緩い。様々な規制の大半は、「要請」にとどまり、「罰則規定」がない。
東京新聞によると、日本の緊急事態宣言は、改正新型インフル特別措置法(新型コロナ特措法)に基づき、首相が対象区域と期間を定めて発令する。それを受けて都道府県知事が、住民に外出自粛や、イベントの開催制限などを要請、指示することができる。「要請」は相手に対してのお願い。「指示」には法的な履行義務が生じるが、罰則はない。臨時の医療施設を開く目的で、土地・建物を同意なしに使用したり、政府への医薬品売り渡しに応じなかったりした場合には罰則もあるが、強制力がある措置は限られる。「海外のような強い強制力での抑止は法律上は難しい」のが日本の現状だという。
法規制の違いは、それぞれの国の歴史や憲法、国民意識とも関連する。産経新聞によると、「日本も戦前の大日本帝国憲法には国家緊急権の規定があったが、現行憲法には存在しない。戦争の反省から国家の暴走を防ぐ意識が働いたとされる。このため日本では戦後、大災害など有事の際は個別の法律を新設、改正して対応してきた経緯がある」。