赤ちゃんに、その時代を象徴する出来事や流行したものにちなんだ名前をつける親は少なくない。今年はオリンピックイヤー、しかも東京大会だ。五輪ベビーに、特別な名をつけたくなる人が出てくるかもしれない。
過去、日本での五輪開催年には、どんな名前が流行していたのだろうか。振り返ってみた。
橋本聖子氏の子どもは「ぎりしゃ」に「とりの」
日本では、五輪は過去に夏季と冬季合わせて3回開催されている。1964年の東京、1972年の札幌、そして1998年の長野だ。
現在、東京五輪で組織委員会の会長を務める橋本聖子氏の名前は、1964年の東京五輪開会式の「聖火」にちなんでつけられた。橋本氏の公式サイトには、「ランナーの手から聖火台に移された瞬間、抜けるような青空に燃え上がった炎を見て感動した父が名付けてくれた」と理由が記されている。
橋本氏は、五輪イヤーに出産した自身の子どもにも「せいか」(2000年シドニー大会)、「亘利翔(ぎりしゃ)」(04年アテネ大会)、「朱李埜(とりの)」(06年トリノ冬季大会)との名前を付けている。21年2月18日放送の情報番組「ゴゴスマ -GO GO!Smile!-」(TBS系)でも取り上げられた。
東京五輪開催前に行われた聖火リレーでも、五輪ネームをもつ女性が聖火ランナーの中にいた。21年3月28日に栃木県1日目を走った女性で、名前は「五輪子(いりこ)」さん。東京五輪の公式サイトによると、1964年の東京五輪の聖火が栃木県庁を出発した日に生まれた。
1964年は「達」、98年には「海」
明治安田生命の公式サイトでは、その年につけられた子どもの名前ランキングが公開されている。過去3回の五輪イヤーにつけられた名前を振り返ると、まず1964年には、男の子の名前に「達也」(5位)がランクイン。同社によると、この年に初のトップ10入りを果たした。「達」の字は「達成」や「到達」などで使われ、「弛まぬ努力のうえメダル獲得をめざす選手の姿に感銘を受けたことも影響したのかもしれません」。
72年の札幌冬季五輪の年には、女の子は「陽子」が首位に。「陽」は太陽を連想させる明るいイメージがあり、五輪を機に世の中が明るく好転していくことに期待を込めたのでは、との見立てだ。
長野冬季五輪のあった98年は、男の子は「海斗」(2位)、「拓海」(5位)、女の子は「七海」(6位)と「海」を取り入れた名前が目立った。同社によると、五輪開催はグローバル化の意識が高まる機会にもなるといい、「海」がつく名前は、子どもに世界で広く活躍してほしいという親の願いが込められている可能性がある、としている。