「VR(仮想現実)」。最近よく聞くようになった言葉だ。何となく知っているつもりで、実はイマイチわからない人はいるだろう。記者もそのひとりだ。
「VRとは何なのか」。そんな基本の「キ」から解きほぐしていこう。VR初心者の記者をナビゲートしてくれるのは、社会性を備えたVR体験を意味する「メタバース」でのマーケティングや調査を手掛ける企業「往来」代表取締役の東智美さん。一緒に「VRを楽しむ達人」を目指しませんか。
「見る」から「いる」へ
記者から質問:「VRって、ゲームなの?」
東さんの答え:「VR=ゲームではなく、『日常生活を拡張した場』です」
東さんは、VR向けSNSアプリ「VRChat」内で日々開催されているイベントに参加し、最新動向を把握している。説明を続けてもらおう。
東さん「もう一つの現実が広がっている世界だと思ってください。年齢も性別も住む場所も違うさまざまな人が、分身となる『アバター』を介してVRChat上で同じ空間を共有し、そこで出会い、また暮らしています。私のアバターはこちらです!」
か、かわいい。「アバターをほめられたり、かわいがられたりすると自信になります」と東さん。アバターにおしゃれをさせているうちに「リアルでもおしゃれをしよう!」と思うようになった人もいるそうだ。
東さん「このアバターたちがVRChat内で集まって、毎朝ラジオ体操したり、VRホストクラブで交流したり、バーチャル空間内で利用できる3Dアイテムの即売会を開いたりと、さまざまな活動をしています」
パソコンや、プレイステーション、ニンテンドースイッチといったゲーム機を使って遊ぶ「オンラインゲーム」も同じ条件を満たしているような。VRはそれらと何が違うのか聞いてみた。
東さん「単に画面を『見る』のではなく、そこに自分が『いる』と感じられるのがVRです。没入感が、より大きい。キャラクターを操作して手や足を動かすのではなく、現実世界で自分が取った動きがアバターに反映されるからです。背後で話している人がいれば背後から声が聞こえますし、行きたい場所があればそこへ向けて歩くことで近付けます。VR空間に体が投影されているイメージ...と言えばわかりますか?」
VRヘッドセットを装着していても、単に3D映像を「見る」だけでは「本物のVR体験とは言えない」のだ。
光る剣を両手に持って挑む「リズムゲーム」
ただ初心者が、いきなりVRの世界に入って、知らない人たちと交流するのはハードルが高い。VRChat以外に、遊び方はないか。
東さん「もちろん、一人でプレイできるゲームソフトもありますよ! 1回買ってしまえばずっと遊べます」
「女性人気がとても高い」と紹介するのが、VRヘッドセット「Oculus Quest(オキュラスクエスト)」対応の『クックアウト』だ。これは、サンドイッチを作って提供するクッキングゲーム。もうひとつ、ライトセーバーのような光る剣を両手に持ち、画面奥から流れてくるキューブを音楽に合わせて斬っていくリズムゲーム「ビートセイバー」も、VRゲーム入門として良さそうだ。視線を激しく動かすことがないので、酔いにくい。
東さん「私が最近ハマっているのは、Oculus Quest対応『Real VR Fishing』です。川辺や海など、美しい景色の中で釣りができるので、外出自粛中にもってこいですよ。現実世界で釣りをするとなると、朝早く起きて準備や移動をする必要があったり、天候が運任せになったりしますが、ゲームなら全て気にせずに済みます」
VRのプロが勧めるゲームで、ぜひ遊んでみたい!それにはVRヘッドセット「Oculus Quest」が必要だ。記者は持っていない...。
次回は東さんにOculus Questを借りて、VR上で釣りに挑戦だ!
プロフィール
〇東智美(ひがし・ともみ)株式会社トーモ/株式会社往来 代表取締役
2009年、ウェブ・グラフィック制作を主要事業に東京都港区に株式会社トーモを設立。16年に自社ブランド「RAKUNI」をつくりスマホアクセサリーの販売事業を開始した。2021年3月にメタバースでのマーケティングや調査を手掛ける株式往来を立ち上げ、3月25日にエムディエヌコーポレーションより『仮想空間とVR』を上梓。
媒体やブロガーとのメディアリレーションを得意分野とし、自らも「flick!」「日経クロステック」などに連載を持ち、「FNNプライムニュース α」の海外テックイベントのレポーターを務めるなど、ネットや媒体を積極的に活用した販促活動を行っている。