東京オリンピック目前の今、2年前に問題視されたお台場海浜公園の「トイレ臭」が注目を集めている。公園のスイムコースは、マラソンスイミングやトライアスロンの舞台となる。
ブルームバーグは2021年7月14日に「悪臭への不安残るまま本番入りか」という見出しで報じ、東京湾の水質不安を指摘した。五輪直前の現状が気になる。
「三重スクリーン」で大腸菌類の流入抑える
発端は2019年8月11日、お台場海浜公園で実施されたオープンウォータースイミングのテスト大会だ。同日付の複数のメディアによると、大会に参加した選手が、会場の海について「トイレのような」においがするとコメントした。
同年8月17日のパラトライアスロンのテスト大会では、前日の水質検査で検出された大腸菌の量が基準値をオーバーしたため、スイムが中止となった。
2021年3月付の「フォローアップ計画書」(都オリンピック・パラリンピック準備局公式サイトに掲載)によると、水質対策として、大腸菌類の流入抑制が期待できる「三重スクリーン」を会場の水中に設置し、砂浜の清掃を強化。また神津島産の砂を砂浜に補充し、水質の浄化機能の強化も図られているとのことだ。
もしも雨が降ったら
最近の水質はどうか。お台場海浜公園では、2020年11月8日に第26回日本トライアスロン選手権が実施され、事前に水質の検査が行われた。
「ワールドトライアスロン」(国際トライアスロン連合)では、水質基準に「大腸菌数」や「腸球菌数」を用いている。東京五輪のトライアスロンでも、この基準が採用されている。日本選手権では20年10月8日と11月1日に水質調査がなされたが、両日ともに基準値以内だった。
なお、都準備局の19年11月22日の発表によれば、お台場海浜公園の水質調査をめぐり、「大腸菌類は降雨がない期間はほぼ基準内にとどまり、台風の影響による降雨の数日後に大腸菌が増え、3日以上晴天時が続くと基準内まで回復する傾向が」示されたという。
19年8月21日付のFNNプライムオンライン記事内でも、微生物や水に詳しい大阪教育大学の広谷博史教授が、「雨が降ったり風が吹いたりすると、水中に沈降していた汚泥が舞い上がり、その粒子に吸着されていた大腸菌が広がることはあります」と話していた。
降雨が水質に影響を及ぼす可能性があるようだ。なお東京五輪のトライアスロン競技は21年7月26日にスタートする。日本気象協会の天気予報サイト「tenki.jp」は、7月26日・27日、競技会場がある港区について「雨時々曇」との予報を示しているが――。