「高校時代の思い出は勉強以外にない」
阿部さんが合格した北京大や清華大のレベルの高さや、中国の教育事情については最近、日本でも何冊かの本で紹介されている。
『「超」整理法』の大ベストセラーで知られる野口悠紀雄さんの『平成はなぜ失敗したのか』(幻冬舎)によると、全米科学財団が発表した2016年の論文数世界ランキングでは中国がトップ。世界の大学ランキングでも200位までに日本は2大学だが、中国は7大学。世界のコンピューターサイエンス大学院のランキングでは1位が清華大学で、東大は91位に過ぎない。
中国事情に詳しいジャーナリスト、中島恵さん『日本の「中国人」社会』(日経プレミアシリーズ)によると、中国の進学競争の激しさは日本の比ではないらしい。生後まもない赤ちゃんは「大学入試まであと〇日」などという言葉を添えて写真を撮るそうだ。生まれた時から、大学受験に向けたカウントダウンが始まっている。
中学のクラスは成績順の編成だという。高校では成績優秀者を出した教師に報奨金が与えられる。北京大、清華大などの難関大の合格者を出せば、高校にも報奨金が出る。合格者の一族にとっても名誉となる。「高校時代の思い出は勉強以外にない」「一日10時間勉強した」などという人は少なくないらしい。