インターネット回線を契約期間の途中で解約すると、違約金を求められることがある。総務省は2021年7月12日の有識者会議で、この違約金の額に上限を設ける案を示した。1か月分のサービス利用料に相当する額が適当だとしている。
この案が採用された場合、利用者にどの程度還元されるのか調べた。
総務省の考え方は
ネットや携帯電話の利用者保護を検討する「消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第33回)」の中で示された案。公開されている資料によれば、いわゆる「2年縛り」といった期間拘束契約に違法性はない一方、ネットのような電気通信サービスは技術革新のスピードが速い。回線契約をした後も、契約期間が満了しないうちに利用者を取り巻く状況が大きく変化し得る。
契約締結時とは事情が変わることで、通信速度への新たな不満など、トラブルにつながる可能性がある。そこで利用者を保護するため、解約の選択が制限されないようにする必要がある。これが検討会の考えだ。
例えばNTT東日本のネット回線サービス「フレッツ 光ネクスト」。2年契約による割引サービス「にねん割」と新規申し込みで受けられる「ギガ・スマート割引」を「ギガマンション・スマートタイプ」(集合住宅向け)プランに適用した時の月額料金は「3839円?」とされる(税込・以下同、公式サイトより)。「にねん割」の更新月以外でこのプランを解約した場合、中途解約金として1650円を支払う必要がある。
同じく「にねん割」「ギガ・スマート割引」を活用した上で、ギガファミリー・スマートタイプ」(戸建て向け)というプランを選択した場合。月額料金は「5626.5円?」とされる。こちらで「にねん割」更新月以外で解約した時の中途解約金は、1万450円だ。
次に、KDDIの「auひかり ホーム10ギガ・5ギガ」という電話回線やネットが使えるサービス。3年契約で割引を受けられる「ずっとギガ得プラン」を適用したときの月額は6160円からとされているが、更新期間外の契約解除料金は1万6500円だ。
このように、契約内容によって解約料が高額となるケースもある。ただ、NTT東日本もKDDIも、月額料金の割引は適用されない一方で、契約期間や違約金も特に発生しないプランは用意している。
携帯回線新料金プランは解約金なし
ネット回線と比べて携帯電話の回線契約での違約金は、NTTドコモやソフトバンク、KDDIといった事業者を対象に、1000円(税抜)を上限とするように定められている。また、違約金を伴う契約期間の上限も2年までだ。「電気通信事業法の一部を改正する法律」の規定で、2019年10月1日から施行されている。
さらに2021年、3社が開始した新料金プランのahamo(ドコモ)、povo(KDDI)、LINEMO(ソフトバンク)では、いずれも解約金や、2年縛りのような契約期間は存在しない。
その理由を、J-CASTトレンドはKDDI広報に取材した。同社が用意している携帯料金プランでは、もともと契約期間の存在する、しないの両方のプランが混在していた。契約期間のあるプランは、期間のない同等のプランに比べて月額料金が少し安くなる。
ただ、「お客様のわかりやすさ」を重視するため、一律で契約期間を撤廃する方針を取るようになった。2021年2月以降に登場しているプランでは順次廃止している。これは「povo」だけではなく、「au」や「UQモバイル」といったKDDIの他の携帯電話向けブランドでも同様だ。
違約金・解約金の存在は契約期間の存在に基づいているため、期間拘束がないプランでは違約金や解約金も求めないとのことだ。