経歴だけを見ればエリートだろう。
東京五輪日本代表メンバーにも、発表前から「当確」と言われていた。各世代別代表ではキャプテンを務めてきた。
オランダ1部・PECズヴォレの中山雄太選手。
だが本人は、意外にも「僕のキャリアは『挫折』で作られている」と教えてくれた。(インタビュアー・石井紘人 @ targma_fbrj)
初の「A代表」で「うまくなれる」
中山:(挫折の)一つ目は、中学三年生で足首を骨折したことです。完治に時間がかかり、大好きなサッカーができなくなるのではという不安、それが辛かった。(「安静にしなければ」と「でもサッカーがしたい」という)葛藤もありました。
二つ目はFIFA U-17ワールドカップの落選。候補として活動はしていたのですが、本大会には行けませんでした。 三つ目は2019年、日本代表に初選出されたのですが、その経験は自分の現在地を知ることになりました。自分のパフォーマンスが悔しかったし、落ち込みもしましたが、同時にうまくなれるとも思えました。三つ目だけは、けがや落選の「挫折」とは違う、前向きなターニングポイントですね。
――今回は、盤石の状態から東京五輪日本代表に選ばれました。目標を教えてください。
中山:僕自身は金メダルを目指して今までもやってきましたし、これからもそうです。グループリーグ自体(南アフリカ、メキシコ、フランス)も簡単にはいかない相手ですが、その戦い、さらに決勝までのプロセスで、僕たち自身の成長を感じてもらえる大会にしたい。そして、最後は金メダルにたどり着けたら最高だと思います。
――金メダルを目指すとなると、コンディションをどのように作るかもポイントになると思います。初戦に合わせるのか、準決勝くらいに合わせるのか。そういった話はチームでしていますか。
中山:いえ、していません。ただ、森保(一)監督も選手もそうですが、一戦一戦が大事だと思っています。今でいえば初戦に対して全力で臨んで、勝利を飾る。次は二戦目、三戦目。先を見過ぎて目の前にある戦いを疎かにしてはいけません。金メダルというのは、一つ一つの積み重ねの先にあるのかなと思っています。