新型コロナウイルス感染状況が深刻で、2021年も全国各地の祭りが中止に追い込まれている。玩具問屋・堀商店(名古屋市)の成瀬昭則さんは、「長年続いている伝統」が消滅する可能性があると警鐘を鳴らしている。縁日で買うことが多いおもちゃも、その一つだと言える。
コロナ禍で、自宅を「屋台」に見立てて遊ぶ――そんな楽しみ方は、どうだろうか。例えば、ヨーヨー風船は風呂に浮かべれば手軽に「ヨーヨー釣り」ができる。成瀬さんが老舗メーカーの鈴木ラテックス(千葉市)から仕入れた「豆知識」によると、元は「プラスチック製ヨーヨー」の代用品として販売されたものだ。
「ヨーヨー」安く売るために
そもそもプラスチック製ヨーヨーは、「1933(昭和8)年頃に米国帰りの教員によって初めて日本に持ち込まれ、その後、流行したが高価だった」と成瀬さん。そこで代用品として「水風船のヨーヨー」を、プラスチック製ヨーヨーの10分の1の価格で、安く販売したのが最初と言われているという。
鈴木ラテックスは、1950(昭和25)年にヨーヨー風船を製造開始し、現在までに作った数は約9億個にのぼる。今では国内だけではなく、欧米やアフリカ、中東など世界20か国で「YOYO BALLOON」の名で親しまれているという。
柄のパターンは、水玉模様の「ポチ」、譜面のような「ドレミ」、波打つデザインの「小波」など、それぞれに名称がある。近年では新柄として、ステンドグラスのような透ける模様で「スパイダー」、「ゴルフボール柄」、「渦巻き」、「スイカ」なども販売されている。