賽銭もキャッシュレスにと言うけれど
玉敷神社(埼玉県加須市)の取引先の銀行では、2019年ごろから501枚以上の硬貨について窓口での入金時に手数料が発生するようになったと、宮司の宮内由紀子さんは話す。賽銭は樹木の管理や建物の修繕などに使う。寄せられた賽銭を有効活用するため、手数料の回避に苦労しているようだ。
まずは硬貨を仕分ける選別機を購入した。50円玉・100円玉といった種類別に500枚ずつに仕分けている。500枚の預け入れならば、手数料はかからない。
ただ硬貨500枚を無料で預けられるのは、銀行の規則により1日1回まで。賽銭やお守りの売り上げなどを含めて、2020年度を例にすると玉敷神社では通年約9万枚の硬貨を扱っており、1日500枚までの預け入れでは小銭の処理が追いつかない場合もある。
500枚を超えて入金するため、銀行と交渉した。現在は500枚を超えて入金したいときには、まず神社の口座とは別に、宮内さんや夫個人名義の口座にも無料で硬貨を預け入れる。そして紙幣として引き出してから、神社の口座に改めて入金するようにしているという。
賽銭の中には接着剤などの異物の付着した硬貨や、外国のコイン、焚き火などで損傷したと思われる硬貨が混じっていることもあるという。選別機の故障にもつながるため、こうしたものを賽銭として寄せられると「困ってしまいます」。
銀行への入金時の手数料を避けるといった観点から、「賽銭をキャッシュレス化すればいい」という指摘を受けることもある。ただ、キャッシュレス決済の導入にも手数料がかかる。決済サービス会社の規則により賽銭には利用できないケースもあるなど、導入にあたっては様々な問題が存在すると話した。