子役でタレントの寺田心さんが、「声変わり」の悩みを打ち明けた。主演映画「妖怪大戦争 ガーディアンズ」PRイベントでの一幕で、2021年7月2日放送の情報番組「スッキリ」(日本テレビ系)でその模様が流された。
寺田さんは最近、たくさん話した日の翌朝は「声がガラガラになる」ため、喉の手入れの仕方が知りたいそう。だが、相談を受けた共演者の俳優・神木隆之介さんは声変わり当時、特に何の対策もしていなかったという。男性は「変声期」を迎えると、喉のケアはどうしているか。10~50代の男性11人に聞いた。
声変わり対策はしなかった
11人の中で、声変わりに際し「対策」をした人は誰もいなかった。
声変わりが来たタイミングは、全員が「中学生」。30代・旅行業Aさんだけが「中学だけじゃなく、大学生の時にも来た」と話した。Aさんはもともと声が非常に高かったため、「低くなりたいと思っていた」。
そもそも変声期に伴う違和感がなく、「来たこと自体を自覚せず、周囲に言われて気付いた」が少なくない。50代・小売業Bさんは「激変する時期自体がなかった。親もそう言っている」と話す。違和感があったかどうかも、まったく記憶にないそうだ。
今まさに、変声期を迎えている中学生の息子をもつ40代・小売業Cさんは、「自分も子どもも、声変わりに伴う違和感はなく、特に対策を行っていない。息子は声が変わり始めて半年くらいだが、『少しずつ声が変わっているのを楽しんでいるように見える』」と語った。
逆に、変声期を自覚していた人の中には、「大声を出すイベント」がきっかけとの回答者が3人いた。30代・農業従事者Dさんは「合唱コンクールの練習で高い声のパートが出せなくなった」時、40代・メディア関係のEさんは「テノールだったのですが、音楽の先生に『担当をバスに変えたら?』と言われた」時が発端だ。
20代・小売業のFさんは、「声変わり期間中は尋常じゃなく、歌が下手になってしまった」。しかも上手く歌えなくなった自覚がないまま、学校の音楽祭では大声で歌い、クラスメートに迷惑をかけたそうで、「後で知った時は大ショックだった」と振り返る。
記者の同僚の20代男性Gさんは、特別な対策はしなかったが、「この先さらに声が変わると寂しい」と、自分の声を残しておくために歌声を携帯電話で録音していたと明かした。
友人の一言に救われた
「声」の変化が仕事に影響する人はどうか。
リアル謎解きゲームや体験型イベントのMCやナレーションなどに携わり、イベント制作・運営も行う、白岩ぱんださんに取材した。初めて声変わりを意識したのは13歳の頃で、友人に指摘されるまで気付かなかったというが、「2年くらい長い葛藤があった」。
「当時は(歌舞伎役者)三代目市川猿之助さんの澤瀉屋(おもだかや)一門として、歌舞伎の子役をやっており、声変わりに非常に悩んでいました。意識し始めると違和感を覚え、喉仏をやたら触っていましたし、カセットテープで声を録音しては一人、落ち込んでいたりもしました。声が出なくなることはありませんでしたが、大きな声を出しづらい期間も一時ありました」
今まで出せていた「高い声」が出せなくなってしまう恐怖心と、隣り合わせだったという。
「流行りの歌を、裏声を多く使って歌ったり、喉に良い食べ物を生活に取り入れたりと、なんとか高い声も出せるようにならないものかと、子どもなりに試行錯誤をしていました」
恐怖心から解き放たれ、声変わりを受け入れられたのは、「白岩の声は落ち着いていていいよね」という、友人の何気ない一言だったと明かす。最後にこう付け加えた。
「高い声が出せなくなるのは悲しいことかもしれませんが、『男性にしか出せない声を手に入れた』という認識によって、新しい自分の個性を手に入れたように思えました。それが、今の声の仕事への自信にも繋がっているかもしれません」