友人の一言に救われた
「声」の変化が仕事に影響する人はどうか。
リアル謎解きゲームや体験型イベントのMCやナレーションなどに携わり、イベント制作・運営も行う、白岩ぱんださんに取材した。初めて声変わりを意識したのは13歳の頃で、友人に指摘されるまで気付かなかったというが、「2年くらい長い葛藤があった」。
「当時は(歌舞伎役者)三代目市川猿之助さんの澤瀉屋(おもだかや)一門として、歌舞伎の子役をやっており、声変わりに非常に悩んでいました。意識し始めると違和感を覚え、喉仏をやたら触っていましたし、カセットテープで声を録音しては一人、落ち込んでいたりもしました。声が出なくなることはありませんでしたが、大きな声を出しづらい期間も一時ありました」
今まで出せていた「高い声」が出せなくなってしまう恐怖心と、隣り合わせだったという。
「流行りの歌を、裏声を多く使って歌ったり、喉に良い食べ物を生活に取り入れたりと、なんとか高い声も出せるようにならないものかと、子どもなりに試行錯誤をしていました」
恐怖心から解き放たれ、声変わりを受け入れられたのは、「白岩の声は落ち着いていていいよね」という、友人の何気ない一言だったと明かす。最後にこう付け加えた。
「高い声が出せなくなるのは悲しいことかもしれませんが、『男性にしか出せない声を手に入れた』という認識によって、新しい自分の個性を手に入れたように思えました。それが、今の声の仕事への自信にも繋がっているかもしれません」