新型コロナウイルスワクチンの副反応に備えてか、市販の解熱剤に品薄が生じていると朝日新聞電子版や静岡新聞電子版が報じた。主に売り切れとなっているのは、「アセトアミノフェン」という成分を含有する薬だ。
どの程度手に入りづらいのか、ドラッグストアを見て回った。
「イブプロフェン」「ロキソプロフェン」剤は棚に
2021年6月21日の14時ごろに、東京都中野区内のドラッグストアを2店訪れた。1店目では、アセトアミノフェンを主に含む「タイレノールA」は売り切れていた。店舗スタッフによると、ワクチンの副反応による発熱に備えて購入する人が多いという。同じくアセトアミノフェンを含み、生理痛や頭痛の緩和のために販売されている「バファリンルナJ」は在庫があったが、残り2箱だった。こちらも平時より売れているとのことだ。
2店目にはタイレノールAもバファリンルナJといったアセトアミノフェンを主成分とする薬の在庫はなかった。新宿区のドラッグストアは、1店目でバファリンルナJは4箱ほどあったが、タイレノールAは売り切れ。2店目でも、アセトアミノフェンを主に含む薬は売り切れだった。
ただ、同じく熱を抑える作用を持つ「イブプロフェン」や「ロキソプロフェン」を含んだ他の解熱鎮痛剤については、品薄となっている様子がどの店にもなかった。
厚労省サイトの説明は
21年6月18日付の「さんいん中央テレビ」の報道によると、アセトアミノフェンは発熱や頭痛に効果があり、子どもの薬にも使われるなど、副作用が少ないのが特徴だという。
また6月15日付のテレ朝ニュースの報道で、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、副作用が少ないということを理由に、新型コロナワクチン接種後の発熱対策として「アセトアミノフェン」を推奨。一方で、「自分が使っている鎮痛剤があれば、それを使っていただいても構いません」と続けている。
このようにアセトアミノフェンを推奨する声などが、ほかの市販薬に比べて品薄となっている背景にありそうだ。
なお厚生労働省が設置しているサイト「新型コロナワクチンQ&A」では、「市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます」と説明している。ただ、薬によりアレルギー症状を起こしたことがある場合や、発熱といった症状が重い場合などには主治医や薬剤師に相談するように求めている。