毎年6月20日は「世界難民の日」。東京・高円寺の老舗銭湯「小杉湯」では、2021年6月18日~23日まで難民支援の企画「UNHCRブルーの湯」を実施している。施設内には難民について学べるポスターの掲出も行い、「世界の難民」について思いを馳せるきっかけを提供する。
21年6月17日、小杉湯では同銭湯でインターンシップをしている大学生と、難民の大学生が共同で企画の準備を行いながら、交流を図った。J-CASTトレンドはその様子を取材した。
銭湯で誰もが自宅のようにくつろげる空間を
この企画は、国連の難民支援機関「UNHCR」が展開する、スポーツを通じた難民支援「RUN FOR Tomorrow」キャンペーンの取り組みの一環だ。期間中、風呂の色が国連の難民支援機関「UNHCR」のテーマカラーであるブルーになる。
小杉湯では、インターンをする大学生が中心となり本企画を実施。連動企画「おかえり 小杉家プロジェクト」も同時開催し、銭湯で誰もが自宅のようにくつろげる空間をつくる。準備を行った17日には、インターン生5名に加え、ミャンマー出身で日本の大学に通う難民の男子学生2人が参加した。
男子学生2人は、開店前に行う準備としてまずシャンプーの補充と床の清掃を体験。インターン生にやり方を教わりながら取り組み、現場は和気あいあいとした雰囲気だった。続いて、浴室や館内に飾るポスターの準備。ポスターの配置に苦戦しながらも、意見を出し合いながら進めていった。
準備が終わったら、いよいよ浴槽に入浴剤を入れる。スプーンですくって湯に混ぜると、みるみる美しいブルーに染まっていった。「きれい!」、「いいね」と、現場も盛り上がった。入浴剤はひのきの香りだという。
「名前や国籍など関係なく、人としてつながれる場所」
最後はブルーの湯に全員で足湯として浸かり、今回の体験を振り返った。大学4年の石田美月さんは、「最初は(難民の学生と)ちゃんとコミュニケーションがとれるのかな、と緊張していた。でも、良い意味で(緊張を)壊してくださって、仲良くなれました」と感想を語った。ミャンマー出身で難民の学生ベントゥさんは、日本に来てから初めて銭湯を体験。それから好きになり、よく利用しているそうだ。今回の銭湯での取り組みについて、「難民について伝えられる場がある、というのが大事だと思いました」と話した。
小杉湯は、子どもから年配者まで幅広い世代が利用する。3代目当主の平松佑介さんは、J-CASTトレンドの取材に対し、銭湯は「名前や国籍など関係なく、人としてつながれる場所」と話す。難民の学生とインターン生が触れ合う様子を見て、改めてそう強く感じたそうだ。今回の企画を通して、利用者にはまず難民問題について知ってもらい、身近な人に伝えてもらえる機会になったら、と穏やかに語った。
なお、「UNHCRブルーの湯」は小杉湯のほかに、21年6月20日限定で東京、大阪、北海道の14か所の銭湯でも実施された。詳細はキャンペーンサイトまで。