駒澤大学のオンライン授業中、講師の画面共有により不適切なウェブサイトが受講生にも見える事態が発生し、インターネット上を騒がせた。大学側は再発防止に取り組んでいくと、2021年6月16日に発表した。公立諏訪東京理科大学では20年8月のオンライン授業で、学生の学籍番号といった個人情報が画面共有により3分間表示されてしまった。
企業の業務にも便利なオンライン会議ツールだが、画面共有や映像でのやり取りにより、思わぬトラブルにつながる可能性がある。気を付けないと、あなたの大事な個人情報が――。
企業機密の漏えい怖い
通信会社に勤める20代女性AさんにJ-CASTトレンドが取材すると、社外の人とビデオ会議を行うにあたり、企業機密の漏えいが起きないか心配しているという。オフィスの様子が映ることで社外秘の情報まで見えてしまう恐れがあるほか、同僚による別の取引先との電話の内容が会議相手に聞こえてしまうケースがあると語る。
対策として、参加者の背後を隠す「バーチャル背景」機能を使用しているという。なお、バーチャル背景は「Zoom」や「Google Meet」といった様々なオンライン会議ツールに搭載されている。
Aさんはほかに、誤った画面共有により、会議中にプライベートのメールや社内のチャットが見えてしまうトラブルが職場でたびたび起きていると続けた。
別の通信会社に勤める20代女性のBさんにも聞いた。自宅でビデオ会議に参加する際、散らかった部屋といったプライベートな部分を見られたくないと語る。ただ、原則としてカメラはオフにしているほか、業務で利用する社用パソコンでの個人メールの閲覧は会社で禁止されている。こうしたトラブル対策により、カメラや画面共有などによりプライバシーが漏えいする心配は少ないため、「あまり気にしていないです」と話した。
「バーチャル背景」にもトラップ
オンライン会議ツールでの画面共有トラブル防止について、情報セキュリティーに詳しい立命館大学情報理工学部の上原哲太郎教授は、基本的な運用に注意する必要があると話す。「気を付けるしかない」というわけだ。
ただ事故を防ぐうえで一番簡単な対策は、普段使用しているパソコン(PC)やタブレットPCとは別に、会議ツール用を用意することだという。見られると困る情報が含まれていなければ、画面共有しても心配ない。
また、インターネットをめぐるトラブルとして、窓から見える風景から他人の住所を特定する人がたまにいる。オンライン会議でも参加者の自室の映像から特定を試みる人は出現し得るため、「バーチャル背景」機能をしっかりと用意した方がよいという。
ただ、バーチャル背景とカメラに映っている利用者の間にちらつきが起き、部屋の風景が一部見えてしまう場合があると上原教授。こうした背景の一部が映った映像を集め、実際の背景を割り出す技術も存在するという。
対策としては、ユーザーの背後を覆う物理的なスクリーンを用意すると有効だ。携帯できるサイズの製品も販売されているという。また、窓の外が映らなければ住所の特定は難しいため、カーテンを引くだけでも効果があるとの話だ。