「不正横行」という指摘も
火災保険の値上げはまだまだ続くようだ。朝日新聞は5月20日、「火災保険料、来年度にも値上げへ 契約期間は5年に短縮」、読売新聞5月28日、「火災保険料が大幅値上げへ...自然災害増、値上げのスピード追いつかず」と報じている。日経新聞も6月10日、「火災保険料、4年で2割上昇 値上げ3回。家計に重荷」「相次ぐ風水害、保険金支払い膨らむ」という記事を出している。
火災保険の保険料は、業界団体の損害保険料率算出機構が、目安となる「参考純率」を固め、金融庁の審査後に正式発表される。次の値上げが迫っており、6月中旬に約10%の引き上げが決まると報じられている。これを受けて損保各社は22年度に保険料を引き上げる。
「参考純率」の値上げ幅について読売は、「11%よりも大きくなる可能性が高い。19年に参考純率が4.9%引き上げられた際には、損保大手4社は保険料を6~8%値上げした経緯がある」と書いている。実際に払う保険料は「11%以上」の値上げになりそうだ。
保険の契約期間について朝日は、「今は最長10年の火災保険の契約期間を、5年に縮めることも決める見通し。短縮して保険料の値上がり分を反映しやすくする」と書いている。その場合、長期割引の額も減ることが予想されている。いずれにしろ、保険契約者にとって厳しい内容だ。
温暖化が進んで水害のリスクは今後も続く。保険料のアップは、所得の少ない層にダメージが大きい。
一方で、火災保険の支払いには、灰色の部分があるともいわれている。月刊誌「FACTA」21年6月号は、「火災保険料の値上げの理由は災害の多発ではない」という記事を掲載している。実際に修理したかどうかを確認せずに、保険金が支払われる制度なので詐欺まがいの請求がまかり通っているというのだ。「肌感覚では、ここ数年で申請された火災保険の6割近くが不正」という損害保険登録鑑定人の声を紹介、「金融庁には警察との連携も視野に入れた対応が求められている」と指摘している。