昼食後、職場で歯を磨く場所がトイレしかない場合はどうするだろうか。ツイッターには、給湯室で磨くよりもよっぽどマシだ、歯磨きしない方が不衛生だと主張する声がある。一方で、不快だ、トイレに入りにくくなる、と否定的な意見も並ぶ。
とくに目立つのが、新型コロナウイルスの感染リスクを心配する書き込み。おしゃべりしながらトイレの狭い空間で歯磨きしている人が気になる様子だ。
7割近くが感染リスク意識しながら歯磨き
生活用品メーカーのライオンが16~79歳の男女2084人に実施した、コロナ禍におけるオーラルケアの実態調査。オフィスや学校など、自宅以外で昼食後に歯みがきをする習慣がある人の66.9%が、感染リスクを意識しながら行っていると回答した。
このうち、45.5%はそれでも「リスクはありそうだが歯磨きをしたい」と答えている。
飛沫のリスクを軽減しながら、しっかり歯を磨ける方法がある。日本歯科医師会が公式サイト上で、動画で紹介している「口を閉じて行う歯みがき」だ。
動画に登場する日本歯科医学会連合副理事長の川口陽子氏によると、新型コロナは唾液による飛沫感染のリスクが指摘されており、歯磨きやうがいの際にも注意が必要だという。飛沫の拡散を防ぐ方法は簡単で、口を閉じて歯を磨くだけ。日本歯科医師会の実験から、口を開けて磨くと唾液の飛沫が周囲に大きく飛び散ったが、口を閉じて磨くと飛び散らないことが分かった。
歯の凹凸に合わせて小刻みに動かす
歯ブラシ選びにもコツがある。口を閉じて磨きやすいよう、ブラシ部分が小さめのものを選ぶとよい。磨く際、歯ブラシは大きく動かさず、歯の凹凸に合わせて小刻みに動かそう。
口をゆすぐときは、水を少量含んで頬を膨らませ、勢いよく約30秒間強くゆすぐ。顔を下に向けてゆすぐと、水が口全体にいきわたって効果的だという。これを1~2回繰り返すだけで十分。水は高い位置から吐き出さず、低い位置から静かに吐き出すと、飛沫の飛散も少なくて済む。
また、歯磨きはできるだけトイレが空いている時を狙い、なるべく隣の人との距離をあけ、会話せずに歯を磨くことに集中しよう。