搾取される国民
日本人の著作では、『オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側』 (文春新書、20年刊)が刺激的だ。著者の後藤逸郎氏はジャーナリスト。元毎日新聞記者。丹念な取材で「IOCを巡る不透明なカネの流れ」「高騰する放送権料のからくり」「二〇二〇年東京オリンピックの真実」などに踏み込んでいる。「利権の闇が広がり、ツケは国民に回される」と手厳しい。
『五輪スタジアム 「祭りの後」に何が残るのか』 (集英社新書、20年刊)は、1972ミュンヘンから2016リオデジャネイロまで、夏季五輪開催地の「今」を徹底調査。各大会のメインスタジアムの「五輪後」の稼働状況、運営形態、維持費の実態を明らかにしている。新国立競技場と東京の「ポスト五輪」を示唆する内容だ。著者の岡田功氏は大阪成蹊大学経営学部スポーツマネジメント学科教授。元毎日新聞記者。
オリンピックのボランティアに焦点を合わせたものでは『ブラックボランティア』(角川新書、18年刊)がある。著者の本間龍氏は元博報堂社員。広告代理店と政治やメディアとの関係に詳しい。17年に出した『電通巨大利権~東京五輪で搾取される国民』(サイゾー)では、五輪と電通の関係に迫っている。