DJ Nobby「遠隔セッション」生配信現場へ コロナ禍で奮闘するアーティスト

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どうしようもない「音の遅延」乗り越えたアイデア

   ライブハウスという拠点を突然奪われたアーティストたちは、それぞれが自宅から生演奏を配信するなどの活動を始めた。ただ、ソロでの演奏には音楽的な限界があり、集客もあまり望めないのが実情。

   そんな中、パーカッショニストである伊藤さんは何人かの仲間に声をかけ、小川さんと、やもとさんが趣旨に賛同し、「配信研究部」の活動がスタートした。

   ただ、Zoomをはじめとしたオンライン会議システムは楽器演奏を前提とした設計になっておらず、音質や遅延の面から単体での使用はできない。活動規模から考えて高価な中継システムの導入も難しい。

   こうした課題を踏まえ、配信研究部メンバーは楽器メーカーのYAMAHAが提供するオンライン遠隔合奏サービス「NETDUETTO」(活動開始当時の名称。現在のサービス名は「SYNCROOM」)で音声をミックスし、Zoomの画面と結合する方法を考案した。

   これによって、演奏者が互いに遠隔地にいても、インターネットにさえ繋がっていれば同時セッションできる環境が整ったのだ。

   当初は下図のように、Zoomから受け取った映像と、NETDUETTOから受け取った音声を、すべて伊藤さんの自宅パソコンに集約。それらを、ライブ配信用ソフト「OBS」を通じてツイキャスやユーチューブなどに配信していた。

「配信研究部」発足当初の遠隔セッション方法
「配信研究部」発足当初の遠隔セッション方法

   その後さらに、同時多元中継や長時間配信、そのほか細かいノウハウを蓄積し、4月24日の「配信研究部Presents "High Sing Fes"」開催にこぎ着けた。当日は大きな配信トラブルもなく、各地のアーティストが画面上で久々の再会を喜びつつ、6時間にわたって素晴らしい演奏を繰り広げた。

   一見簡単そうに見える配信研究部のオンライン配信の裏には、1年間に及ぶ彼らの努力と、ファンの熱い応援があったと言えよう。

約5000人が視聴した「配信研究部Presents
約5000人が視聴した「配信研究部Presents "High Sing Fes"」の様子
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