ヒール的なイメージ
スポーツライターの小林信也氏によると、西岡選手や中島選手は日本に戻ってきた当時、「帰ってきて頑張ってくれればいい」といった気持ちで温かく迎えるファンが実際には多かったという。ネットの反応とは違っていたようだ。
元々、日本の球界とファンの間では、「日本の野球を守りたい」という気持ちから、選手がメジャーへ行くことへの抵抗感があった。一方、大リーグに渡って日本球界に戻ってきた選手を数えると通算で46人に上る。こうした過去の選手たちが築いてきた「実績」により、選手がメジャーと日本球界を行き来することにファンが慣れた部分があると指摘する。
MLB入りの成功例、失敗例も積み重なった。これにより、渡米した選手が活躍できなくても、批判的にとらえず「帰ってくればいい」と考える人も増えたというのだ。小林氏によると、メジャーで「挫折」して日本球界に復帰しても、バッシングが寄せられるケースについては「最近はないような気がします」。
では、なぜ山口投手にはネット上でこうも厳しい意見が寄せられるのか。小林氏は、「山口投手のこれまでの歩みに対して批判的に考えている人が、他の選手に比べて多い」からではないかと推測した。
2016年オフに横浜DeNAベイスターズから巨人にFAし、その後巨人も離れてメジャーへ渡った山口投手だが、両球団で二桁勝利を挙げたのは、16年と19年。つまり、それぞれの球団での最終年のみだ。ようやく活躍したと思ったらすぐに「出ていった」印象を持ち、快く思わないファンもいるという。
また死球数も多く、「ヒール的なイメージ」を持ったピッチャーとのことだ。
ただ、戻ってくる球団として古巣の巨人を選んだ山口投手について「筋は通している」と評価。巨人ファンは再入団を歓迎しているのではないかと分析した。