中国最南部の雲南省でゾウの集団が出現し、大騒ぎになっている。農作物を勝手に食べたり、建物や柵を壊したりなどで被害は1億円以上にのぼるという。ドローンで行動監視が続けられているが、森の中でごろんと横になっている映像なども公開され、「かわいい」という声も。それにしても、どうして中国の南部にゾウがいるのだろうか。今後、どうなるのだろう。
行動半径は広い
今回のゾウは10数頭の集団。中国とミャンマーの国境辺りで暮らしていたが、何らかの理由で2021年4月ごろから大胆な移動し始めたという。雲南省の省都、800万都市の昆明の近くにまでたどり着いているというからただごとではない。
一般にゾウというと、アフリカのイメージが強く、アジアではインド辺りにしかいないと思われがち。しかし、WWF(世界自然保護基金)ジャパンのウェブサイトによると、アジア各地に生息している。スマトラやボルネオの熱帯林から、メコン地域に広がる季節林、インドのサバンナや山岳地帯、そしてヒマラヤ山麓の大草原まで多様で幅広い。
アジアのゾウは、3亜種に分かれており、その中の一つがインドゾウ。バングラデシュ、ブータン、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、そして中国の13か国に数万頭が分散しているという。
家族を中心とした単位の数頭から十数頭の群で行動し、それぞれの地域の植生に応じて、さまざまな植物の葉や実、また木の樹皮や根などを食べている。
行動半径は広く、300平方キロにもなるという。普段からじっとしているわけではなさそうだ。