東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策用具として発表されていた「かぶるタイプの傘」(以下、かぶる傘)を覚えているだろうか。小池百合子知事が2019年5月24日の記者会見で紹介したもので、遮熱・遮光効果を持った素材で作られた「日傘」だ。
都公式の暑さ対策として傘をかぶるというアイデアに、昔話の「笠地蔵」を思わせる見た目のインパクト。当時は報道番組やインターネットの掲示板上で話題となったが、新型コロナウイルスの感染拡大で、大会の開催そのものに関心は移った。さてこの傘、今はどうなっているのか。
グッズサイトには掲載なし
小池知事は、前述の2年前の会見で、着用時に暑さ対策ができると同時に「手が空く」ことをかぶる傘のメリットとして挙げ、東京都で製作を進めていると話した。この傘は、都の魅力のPRを目的とした事業「Tokyo Tokyo」のグッズで、価格など詳細は追って知らせるとしていた。
2019年9月30日付「テストイベントを活用した都における検証の結果について」というオリンピック・パラリンピック準備局の資料によると、同年7月から同年9月にかけて実施された大会テストイベントの中では、観光や交通案内を担うシティキャスト(都市ボランティア)が実際にかぶる傘を着用しながら効果を検証した。
ボランティアのアンケートでは「風に弱いという意見があるものの、暑さ対策としては概ね良好」「ハンズフリーとなるため、活動しやすい」「見た目が気になる」といったコメントが寄せられた。こうした検証を踏まえて、大会時には希望するシティキャストへのかぶる傘の提供を検討すると発表された。
なお、「Tokyo Tokyo」では同名のブランドを冠したキャップやマグカップといったグッズが「東京おみやげ」として販売されており、それぞれの商品情報が「Tokyo Tokyo」公式サイトに記載されている。2021年6月9日現在、かぶる傘の商品ページは確認できない。
ボランティアに貸与予定
J-CASTトレンドは6月9日、東京都オリンピック・パラリンピック準備局のシティキャスト担当に取材した。担当者は、かぶる傘は大会期間中、希望したボランティアに貸与する予定だと話した。実際に使われることが分かったのだ。
強風の時には傘が取れそうになるといった意見が寄せられているため、気候を考慮しながら貸し出す。数は約4000個を想定しているが、都市ボランティアの人数は現在調整中とのことだ。
なお、頭に着用して使う日傘は東京都とは別に複数の民間企業から販売されている。例として、「日傘と傘の専門店リーベン」という通販サイトでは「ハッと!アンブレラ」という名前のかぶる日傘が2490円 (税込) で売られている。
都の「かぶる傘」が一般販売されるかはわからなかったが、大会期間中にボランティアが着用する姿は見られそうだ。