中国で製造する合弁事業計画
主要な新型コロナワクチンは、トルコ系ドイツ人の医学研究者が作ったスタートアップ企業が、ハンガリーから米国に渡った女性研究者の論文に着目し、長年の研究をベースに短期で創成に成功した、ということになる。
しかし、意外なバイプレーヤーも絡んでいる。中国だ。2020年3月13日、中国の大手製薬会社「上海復星医薬集団」はビオンテック社の5000万ドル分(158万777株)の株式を取得。いち早く、中国本土、香港、マカオ、台湾でビオンテックのmRNAワクチンを独占的に生産・販売する権利を取得していたと報じられている。
中国はその後もビオンテックとの協力関係を深め、今年5月上旬、上海復星医薬集団が、ビオンテック社のワクチンを中国で製造する中独合弁事業計画が発表された。生産能力は年10億回分に達するという。
台湾の蔡英文総統は5月末、台湾がビオンテック社から新型コロナウイルスワクチンを購入するのを中国が妨害していると名指しで非難した。日本は英アストラゼネカ製のワクチンを供給することで台湾を支援、感謝されているが、中国は新型コロナ発生直後にビオンテック社に接近、両社間にはすでに強固なパートナー関係が出来上がっていることがうかがえる。