はつめ降臨! 「ストリーマー」ってこんなお仕事です

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【連載】はつめ降臨 成長する連載「第一形態」

   元プロゲーマー、現ストリーマーの「はつめ」さんが、esportsをはじめゲームを軸としたありとあらゆるテーマを語り尽くす新連載。はつめさんと共に、連載の中身も成長していきます。まずは「第一形態」として、いしたにまさきさんとの対談シリーズがスタート。

  • この連載のメインの話し手、はつめさん
    この連載のメインの話し手、はつめさん
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ゲームに特化した配信者

いしたにまさき:みなさんこんにちは。
 eスポーツ(esports)とかプロゲーマーとかゲーム実況なんて言葉をこの2年ぐらいでずいぶん耳にするようになったと思います。今だとYouTubeで見る人がやっぱり多いでしょうか。
 でも、このゲーム界隈の動きというのは、別に急に始まったわけではなくて、ざっくり10年ぐらいでいろんなことが起きて今の状況になっています。そして、それが若者に支持されていて、しかも世界的な動きで、上の世代はいまいちピンときてない(笑)。
 ただ、なんか起きてることはわかっているという感じでもあるので、そこら辺をまるっと体験しつつ、解説もしていく連載のスタートです。
 でメインの話し手は、はつめさん!
 まずは、お名前と肩書からどうぞ。

はつめ:こんにちは。はつめです。
 肩書としては、インターネット炎上マン、可燃物、元プロゲーマー、ストリーマー、YouTuber、ゲーム実況者といろいろあるのですが、一番わかりやすく説明すると、元プロゲーマーの現ストリーマーです!!

いしたに:けっこういろいろと出ましたね(笑)。まず、そのストリーマーという耳慣れない肩書はなんですか? 配信者?

はつめ:ストリーマー、最近出てくるようになったesportsの業界用語の一つです。
 昔は生放送の配信を行っている活動者のことを"配信者"と呼んでいましたが、ゲームに特化した配信者を最近ではストリーマーと呼ぶ傾向にあります。主にesportsのプロチームに所属する形が多いですが、最近ではフリーのストリーマー(主に生放送を活動場所とする配信者)が増えました。

いしたに:えーと、順番にいきましょうか。配信はまあいろいろありますね。その中でもゲームに特化しているというのはわかります。

はつめ:すごい早口でしゃべっちゃった...。

いしたに:だはは。そのゲーム配信をするストリーマーがesportsのプロチームに所属しているのはどういうこと? プロチームって、プレイする人たちだけじゃないんだ。

はつめ:少し考え方が偏っているかもしれないですが、元々ストリーマーという肩書は、プロゲーマーのセカンドキャリアのようなものだったと私は認識しています。

いしたに:ははあー。あれか、プロ野球選手が引退して、プロ野球ニュースで話しているみたいな感じか。

はつめ:どちらかというと、プロスポーツ選手が引退した後に、学校やクラブのコーチをする、に近いかも。競技シーンから引退した選手が、その人気と競技シーンに負けず劣らずの実力を見せてファンを楽しませる、というのが最初の出現かな。

いしたに:そうか。大会でガチガチに現役で出るような人たちは、配信とかまでできないけど。

はつめ:そうそう、これはすごい昔の話ですが、戦術がばれるから配信禁止だったりとか。
 結構情報戦だったりするので。

いしたに:あー、なるほどね。そりゃそうだ。配信で手癖とかバレると、いいことないということか。

引退してもめっちゃ強い

はつめ:最近では「Twitch」や「Mildom」、「OPENREC」などゲームに特化した配信プラットフォームも増え、配信方法や必要スペックのハードルも下がったことから、配信メインで活動する方がだいぶ出てきました。
 そこで、配信者の中でも"めっちゃ強い人"や、生配信を見る層も増えたので、"ストリーマー"という「職種」「肩書」の人が多くなりました。
配信プラットフォーム「Mildom」
配信プラットフォーム「Mildom」

いしたに:だってさ、元プロゲーマーといったって、そりゃ一般の人と比較すれば、すげえゲームうまいわけで、その技能を生かさない手はないものねえ。

はつめ:そうなんですよ。結局強かった人っていろいろな事情があって、引退してもめっちゃ強いんですよね。

いしたに:めっちゃ強い(笑)。

はつめ:ただ、ストリーマーの中には、競技シーンに通用する実力を持っていても、あえて競技シーンに行かない人もいます。むしろ、めっちゃいっぱいいる。

いしたに:なるほどなるほど。

はつめ:こういう人がいて、またストリーマーの中でも実力の差というか、競技性というか、競争が起きてある種業界が確立されていったような気がしています。

いしたに:みんながEVO目指すわけでもないと。


EVO(Evolution Championship Series):毎年米ラスベガスで開催され、オープン大会の中では最高峰の大会。タイトルごとに3000人ほどのエントリーがあるので、格闘ゲーマーとしてEVOでの入賞を一つの目標に掲げる人も多い。


はつめ:学生の頃に、異様にサッカーがうまいけどサッカー部入らないやつ、異様に絵がうまいけど美術部に入らない人っていたじゃないですか。

いしたに:はいはい、いましたね。私、放送部だったんですけど。

はつめ:あれに似てます。その学生たちとストリーマーの共通点は、「昔習っていた、昔賞をとったことがある」と「昔別のゲームで競技シーンしてた」って感じ!

いしたに:先輩が県の平泳ぎの記録持ってました。でも、放送部(笑)。

はつめ:強すぎる。そう、そうやって実力があってもプロの世界に進まない人っているんですよね。

ゲームで地位と名誉を得る

いしたに:あ、そうそう。そもそもesportsとは、という話を少ししておこうと。esportsってなんなの?ゲームなの?なんなの?っていう認識の人もいると思うんです。

はつめ:ですね。

いしたに:人がゲームするの見て楽しいの?ゲームってやるものじゃないの?っていう。

はつめ:esports、いろいろな解釈があるし、いろいろな定義、意味が持たされているんですが、個人的には「競技性のある(順位付けが起きる)ゲームの競技シーン」という認識です。私が感じた事としては、ゲームで地位と名誉を得ることだと思います。

いしたに:ですよね。で、ちょっとわかりにくいのが、1人でやるゲームもあるし、チームでやるゲームもあるし、1人でやるゲームなのにチームで戦うってのもあると。

はつめ:例えばスポーツの中でも、チームスポーツの野球、サッカーもあれば、1vs1の格闘技、卓球、スコアを競う陸上、水泳いろいろあるじゃないですか。
 それくらい、esportsにもジャンルがあります。めっちゃある。

いしたに:私が説明するときは、例えば、東京ドームに巨人VS阪神戦を見に行くとしますよね。

はつめ:うんうん。

いしたに:そこにはまず巨人ファンもいるし、阪神ファンもいる。当然プレイする選手がいて、監督がいて、コーチがいて、スタッフがいる。
 そして、ファンの中に野球を実際にやってる人ってどれぐらいいますか?っていう話で。

はつめ:うんうん。

いしたに:普段野球やってないのに、みんな東京ドーム行ったり、テレビで中継見たり、さらにはテレビで試合結果見たり、ネットでニュース見たりするわけです。
 その野球の部分、サッカーとかも当然置き換えられるんですが、そこをゲームに置き換えても、いまや成立しているということでいいんじゃないかと。

野球ファンの中には、競技経験がなくても球場まで応援に出かける人も少なくない
野球ファンの中には、競技経験がなくても球場まで応援に出かける人も少なくない
はつめ:そうですね。少し前までは、高校の甲子園に近かったんですよね。観客ほとんど球児!みたいな。

いしたに:いや、でもね。昔はプロ野球人気なかったんですよ、大昔ですけど(笑)。高校野球とか大学野球の方がずっと人気あって。長嶋がプロ入りしてから、今のプロ野球の姿になったわけです。

はつめ:(むしろそっちのほうが知らなかった)

いしたに:すごく乱暴に説明してますけどね。なので、esportsも同じような歴史をたどっていくんじゃないかと。すでにスター選手は何人か出てきていますし、プレイヤーの外の世界にも広がっていってますから。

はつめ:たどってほしい~~。

いしたに:見る人が増えていかないと、そもそもいろんなことが成立しないんじゃないかと思うんですよね。

はつめ:本当にそうです。
はつめ
現在フリーのストリーマーとして活動している元プロゲーマー。高校時代にesports業界へ飛び込み、18歳にプロ契約。格闘ゲームのプロゲーマーとして、全世界で行われるCAPCOM Pro TourやEVOへも参加。2020年頃よりApex Legendsのゲーム実況をはじめ、当時の最高ランクに昇格するなど、FPSでも活躍している。米国発スポーツアパレルブランド「Kaepa」のブランドアンバサダーを務めている。テレビ番組「お願いランキング!」「王様のブランチ」「マツコ会議」への出演をはじめ、新聞やメディア出演も多数。
Twitter:https://twitter.com/hatsumememe
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCq1FEiGmyh-52yYGeOMTVLA

いしたにまさき
ウェブサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』管理人。2002年メディア芸術祭特別賞、第5回Webクリエーションアウォード「Web人ユニット」賞受賞。著書に2010年11月に単著「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である(技術評論社)」など共著も多数。2011 年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザー就任。同年アルファブロガー・アワード受賞。「ひらくPCバッグ」などネット発のカバンデザインも好調。ひらくPCバッグで2016年グッドデザイン賞受賞。Evernote ECL・ScanSnapアンバサダー・HHKBアンバサダー。Yahoo!ニュース個人オーサー。
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