クラスター発生が怖い
三つ目の懸念はボランティアだ。大会組織委員会が募る「大会ボランティア」が約8万人、自治体が募る「都市ボランティア」が約4万人と想定されていた。前者は大会会場や選手村で、後者はそれ以外の場所でサポートする予定だが、多数の辞退者が出ていると報じられている。
5月31日のテレビ朝日「報道ステーション」は、ボランティアの辞退理由の一つに「感染が怖い」という不安があると指摘していた。日本の選手や大会関係者に対しては、ファイザー社製のワクチン2万人分が提供される予定だが、接種対象者にボランティアが含まれているのかどうか、はっきりしない。大会組織委員会の武藤敏郎事務局長は「選手等に近いのが一つの基準になる」と説明しているが、無給で奉仕するボランティアが、何となくないがしろにされている感がある。
報道ステーションは、「五輪をやってほしい、見たいという気持ちはあるが、それ以上に、万が一、クラスターが発生して深刻な状況に陥ってしまうのが怖い」というボランティア辞退者の声を紹介していた。
周知のようにIOC(オリンピック委員会)は歴代会長の過半を西欧の貴族が牛耳る階級社会。その最下層を担う形の、無報酬・善意のボランティアが、ワクチンを受けられないまま感染してしまうリスクがゼロではない。